ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

【備考】小さな恋、大きな愛〜リトル・ダーリング

BS4Kでシーズン4の「小さな恋、大きな愛」を見た。

邦題のようにローラの恋を描いた「小さな恋」とチャールズの仕事と家族への思いを描いた「大きな愛」のストーリーが同時進行する。

面白いのは当然、ローラの恋のパートではあるが、シーズン1の「ローラの初恋」の頃から何も変わっていない。落ち込むローラを励ますキャロラインの言葉もほぼ同じ。

f:id:hze01112:20201023103553j:plain

シーズン2の「ダンスパーティ」では、ダンスに誘われるために悪戦苦闘して、「いつわりの友情」では、発明好きの少年に恋をして両想いになる。そのせいもあってか、シーズン3では新たな恋のエピソードは描かれなかった。

そして今回のエピソードでは、少しだけ大人に近づく。内面よりも外見を気にしてしまい、間違った方向に進んでいく。普段の三つ編みを解き、花柄のエプロンを着て、香水を付けて登校する姿が可愛い。

f:id:hze01112:20201023103727j:plain

それなのに胸のないことを気にして大失敗をしてしまう。爆笑シーンではあるが、肉体的コンプレックスに起因することだけに切なくもあった。

f:id:hze01112:20201023173151j:plain

f:id:hze01112:20201023103812j:plain

新婚のシムズ(ビードル)先生が見ているのは・・・

事実、演じたメリッサ・ギルバートは大人になって実際に豊胸手術をしたが、後に元に戻したとのこと。子役時代にありのままの自分を肯定することを学んでいるはずなのに、女心は分からないものである。

それでも放送当時はローラのようなボーイッシュな少女は人気があった。「がんばれベアーズ」に出演したテイタム・オニールなど最たるもので、当時の少年は胸をときめかせたものである。

それでも少女は成長して女になっていく。テイタムも1980年には「リトル・ダーリング」に出演し、水着姿を披露している。映画の内容もサマーキャンプでロスト・ヴァージンを競うというもので、なかなか刺激的だった。共演のクリスティ・マクニコルとも色々あったようで、それは「大草原」での二人のメリッサにもいえることである。

f:id:hze01112:20201023083239j:plain

 当時の記録には次のように書いてある。

アメリカの跳んでる少女の冒険談で、日本の学園ものと変わりないが、主演の二人が魅力的でけっこう面白かった。サマーキャンプで知り合った不良(クリスティ)と優等生(テイタム)がライバル意識を燃やし、どちらが早くC体験をするか競うというストーリーだが、別にいやらしくもなく、ユーモアたっぷりに明るく描いていたので好感が持てた。「がんばれベアーズ」でファンになったテイタムは本当に美しくなって、彼女だけを見ていても退屈はしなかったが、主役はクリスティの方で彼女が恋をしてだんだんと女らしくなっていく姿が魅力的だった。

1984年にテレビ放送された時にはテイタムは柏原芳恵で、クリスティは冨永みーなが吹替だった。キャリーもしっかりと成長していたようである。

映画には色々なロックが流れるがジョン・レノンの「オー・マイ・ラブ」とスーパートランプの「スクール」が印象的だった。

 

二人のメリッサも同時期に「ラブ・ボート」にて水着姿になっている。このドラマでも二人のキャラクターが現代的なローラとメアリーになっているのが面白い。外見的なイメージは変わらないということでもある。

f:id:hze01112:20201023112401p:plain

ボーイッシュな少女が

f:id:hze01112:20201023112534p:plain

愛の本を読んで

f:id:hze01112:20201023112732p:plain

水着で迫る

f:id:hze01112:20201023113039p:plain

一方、姉さんは

f:id:hze01112:20201023113220p:plain

大人の魅力

最近のドラマである「アンという名の少女」では体の変化ということで初潮を描いている。血を見て狼狽える姿が生々しいが、このシーンを見て思い出すのはやはり映画「キャリー」である。冒頭のシャワーシーンは衝撃的だったが、体の変化と共に精神に変化をもたらす象徴的なシーンだった。「大草原」では描かれなかったそうしたシーンを想像してみるのも楽しいものである。

映画「さらば、わが愛/覇王別姫」

WOWOWのミニシアター特集の1本として放送された「さらば、わが愛/覇王別姫」を久々に見た。3時間弱という長尺ながら、一気に見ることができた。

さらば、わが愛 覇王別姫(字幕版)

さらば、わが愛 覇王別姫(字幕版)

  • 発売日: 2015/11/15
  • メディア: Prime Video
 

京劇を舞台にした50年に及ぶ中国の近代史が描かれる。当然、日本軍の侵略も描かれる訳だが、残酷描写は無し。その宴席にレスリー・チャンが演じた蝶衣が招かれ、戦後は売国奴と蔑まされることになる。

その蝶衣は幼い頃に娼婦だった母親に京劇へ売られ、そこで兄のような存在だったのが小楼で、彼はコン・リー演じる娼婦の菊仙と結婚する。その3人の関係が時代と共にどのように変わっていくかが見所となる。

とにかくレスリー・チャンコン・リーが美しい。その2人がチャン・フォンイー演じる小楼を巡ってバトルを繰り広げるのだから堪らない。クライマックスの自己批判には感情を揺さぶられてしまった。


Adieu ma concubine (霸王別姬, 1993) de Chen Kaige

日本公開は1994年2月11日で、5月1日に渋谷のル・シネマで観ている。

f:id:hze01112:20201023161649j:plain

監督はチェン・カイコ―で、その前に観た「子供たちの王様」も良かった。

f:id:hze01112:20201023162230j:plain

しかし、中国の監督では同じような名前のチャン・イーモウの作品を多く観ており、こちらでもコン・リーが魅力的だった。山口百恵のコンサートや映画「風立ちぬ」を見た後だけに、改めて雰囲気が似ていると思ってしまった。

f:id:hze01112:20201023163224j:plain

f:id:hze01112:20201023163245j:plain

レスリー・チャンは「男たちの挽歌」と「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のシリーズが大好きだった。それだけに2003年4月1日の自殺は衝撃的だった。

f:id:hze01112:20201023164524j:plain

レスリーと言えば、歌手としても有名で、この歌が好きだった。


Leslie Cheung - A Chinese Ghost Story (Cantonese version) 倩女幽魂 - 张国荣 1987

 そしてレスリー山口百恵と言ったら、この歌である。


風繼續吹 Leslie Cheung 张国荣

映画「屍人荘の殺人」

秋ドラマはあまり見る気がしなくて、その代わりに映画を多く見ている。普段あまり見ない映画も、予備知識なしに見ることもある。「屍人荘の殺人」もそんな一本。

屍人荘の殺人

屍人荘の殺人

  • 発売日: 2020/06/16
  • メディア: Prime Video
 

タイトルからミステリーだとは分かるが、今村昌弘の原作は未読。それでも2018年度の国内ミステリーランキング4冠達成は凄い。

それを蒔田光治が脚色。蒔田と言えば、ドラマ「TRICK」が有名だが、個人的には「ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜」「スリル!〜赤の章・黒の章〜」「ピュア! 〜一日アイドル署長の事件簿〜」とNHK制作の3作が好きだった。それぞれ、ヒロインの橋本愛小松菜奈浜辺美波が魅力的。

ピュア! 一日アイドル署長の事件簿(DVD2枚組)

ピュア! 一日アイドル署長の事件簿(DVD2枚組)

  • 発売日: 2020/02/19
  • メディア: DVD
 

それだけに再び浜辺と組んだ「タリオ 復讐代行の2人」も楽しみだったが、初回を見て断念してしまった。

その2人の前作が「屍人荘の殺人」だったのは、見終わって知ったことである。演出はどちらも木村ひさしで、「タリオ」が合わなかったのは演出のせいだと分かった。「おカネの切れ目が恋のはじまり」はそれなりに面白かったが、別の要因が大きすぎた。具体的にどうとは言えないが「名刺ゲーム」のように感覚的にくどい感じが合わないのかもしれない。浜辺もあまり魅力的ではなかった。

主演は神木隆之介で、その相手役で中村倫也明智役で登場するので、てっきりドラマ「美食探偵」のような内容かと思っていただけに、思いっきり外されてしまった。紫湛荘が屍人荘になっている点で勘の良い人は分かってしまうかもしれないが、ここの描写が決定的にダメだった。ここが良ければ映画としてはもっと面白くなったかもしれない。ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」がなかなか良い山田杏奈が印象的ではあるが、もう少し線の細い方が良かったかもしれない。

浜辺の役名は剣崎比留子。この名前から思い出すのは映画「ヒルコ」。

ヒルコ 妖怪ハンター [DVD]

ヒルコ 妖怪ハンター [DVD]

  • 発売日: 2000/12/21
  • メディア: DVD
 

原作:諸星大二郎

監督・脚本:塚本晋也

主演:沢田研二

公開は1991年5月11日で、東劇で観ている。沢田の演技が印象的だっただけに、もう一度見たい作品の一つだ。

f:id:hze01112:20201021172934j:plain

【備考】自由への旅

「人は何で憎しみ合うの?」というローラの問いはシリーズを通して描かれてきた問題提起の一つである。

それに対してチャールズは「それは人には分からない。分かるのは神様だけだ」と答える。分からないからこそ信仰がある。

f:id:hze01112:20201019174744j:plain

この先住民に対する差別問題はシーズン1の「吹雪の中」とシーズン3の「誇りと勇気」でも描かれているが、今でも繰り返されている問題である。

自分は原作を読んでいないので分からないが、作中には当時の差別意識が描かれており、それが原因でローラの名前が文学賞から外されたとのこと。

www.bbc.com

それで原作やドラマを貶める人もいるようだが、それはまた別の問題である。差別の問題を考える事例の一つとして考えれば良いことである。シーズン4では「人質になったメアリー」でも、より身近な差別問題を描いている。

そんな難しいことは抜きにして単純にドラマとして楽しんでも何かしら残るものがある。そんな小さなことを少しずつ蓄積していくことが大切なんだと思う。

ドラマではメアリーが最初、彼らのことを異教徒と蔑むが、チャールズが「信じる神は違うけど、同じ神の子だ」と正す。

f:id:hze01112:20201019174948j:plain

シリーズを通して見ているとメアリーがこうした発言をすることには違和感を覚えるが、問題提起をする作劇上の都合だから仕方がない。事実、その後には差別的な発言をする男子にパンチを食らわせている。

f:id:hze01112:20201019175027j:plain

それに対してローラは何の迷いもなく彼らの中に入っていこうとする。しかし、その思いとは裏腹に拒絶されてしまう。母親を殺された白人に心を開くことはできないのだ。それでもローラは諦めず、大切な人形をプレゼントするが、簡単には心を開いてはくれない。

f:id:hze01112:20201019175118j:plain

では、その行為は無駄だったのかといえば違う。最後まで一言も話さなかった少女の手から人形が離されることはなかった。そんなシーンから何を思うかは人それぞれではあるが、印象的なシーンだった。

f:id:hze01112:20201019175152j:plain

印象的なシーンといえば、今回も雄大なロケーションが満載だった。おそらく「気球が飛ぶ日」と同じ場所だとは思うが、青い空と雲が美しい。特に地平線に雲がかかっているのは印象的である。

f:id:hze01112:20201019175242j:plain

そんな美しい場所で族長が死への祈りを捧げる。政府から与えられた居留地は決して住みやすい場所ではなく、そのため自由を求めて北へ向かう姿は切なかった。まだ、一族としての集団はあるが、それが減っていくことの哀しみ。映画「ラスト・オブ・モヒカン」を思い出してしまった。

f:id:hze01112:20201019175325j:plain

筒美作品の思い出〜エーゲ海に魅せられて

筒美京平が今月の7日に80歳で亡くなった。ジャンルこそ違うが、その音楽の質と量からエンニオ・モリコーネを思い出してしまった。

筒美が手掛けた歌で最大のヒットが1979年の「魅せられて」であるが、個人的にも忘れられない歌の一つである。

元々はワコールのCMソングであったが、映画「エーゲ海に捧ぐ」の映像が使われていたので、映画のイメージソングのようでもあった。

1979年4月に公開された映画を観たのが6月18日だった。当時の記録には次のように書かれている。

なんてことはなく、初めから裸女が出てきて、全編そんな感じ。ストーリーなんて関係なく、そんなシーンだけで楽しめる。映像は評判通り美しく、エーゲ海のシーンは素晴らしい。何より、エンニオ・モリコーネの音楽が良かった。

男子高校生には裸の女性が見られれば十分ではあるが、それにプラスして美しい映像とモリコーネの 音楽に魅せられたものである。

エーゲ海に捧ぐ

エーゲ海に捧ぐ

 

当時はまだ筒美京平という名前は知らなかったが、ここで「エーゲ海」と「魅せられて」と「モリコーネ」が結びついてしまった。

ジュディ・オングの歌はエキゾチックでカラフルで、何とも魅力的だったが、モリコーネのサントラもアンニュイでエロティックで素晴らしかった。


ジュディ・オング - 魅せられて Live 1979年


Ennio Morricone 映画 「エーゲ海に捧ぐ」 エーゲ海のリーザ Lisa del mare Egeo

エーゲ海については、ギリシャ出身のヴァンゲリスの音楽に親しんでいたが、後に彼が所属していたバンド、アフロディス・チャイルドを知り、ますます好きになっていった。


Aphrodite's Child - Aegean Sea

 

翌年の1980年には近藤真彦がデビュー曲「スニーカーぶる〜す」を歌い大ヒット。当時はドラマ「3年B組金八先生」を夢中で見ていたが、特にマッチのファンという訳ではなかった。それでもしっかりと耳に残っているのが凄い。ジャニーズ関連だと少年隊の「君だけに」(1987年)が大好きで、勢い余ってカラオケで歌って失敗した苦い思い出がある。


少年隊 君だけに 1987

スニーカーぶる〜す」の作詞は松本隆。その松本が薬師丸ひろ子のアルバム「花図鑑」で筒美と組んだ歌に「麦わら帽子のアン」がある。

hze01112.hatenablog.com


薬師丸ひろ子「麦わら帽子のアン」 from album "花図鑑" 1986年6月 [HD 1080p]

このアルバムに収録されている歌はすべて好きだが、「赤毛のアン」も好きなだけに個人的には特にお気に入りである。先日NHKで放送された「アンという名の少女」にも帽子に花を飾るシーンがあった。「大草原の小さな家」でもシーズン3からメアリーが教会に行く時に被る帽子が素敵である。

大草原の小さな家」ではメアリーとローラの恋から、「木綿のハンカチーフ」と「センチメンタルジャーニー」を思い出している。

hze01112.hatenablog.com

hze01112.hatenablog.com

 そして、ベイカー先生のロマンスから、「ロマンス」について書いている。

hze01112.hatenablog.com

やはり、筒美作品と恋は親和性が高い。大学生になって上京してからの日々はまさに恋の季節だった。特に1984年は忘れられない年で、朝ドラ「あまちゃん」でも印象的に描かれている。天野春子が聴いていた楽曲は自分の青春も彩ってくれたものである。

春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ビクター編

春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ビクター編

 

そんな「春子の部屋」に収録された歌の中で筒美作品は以下の通り。

ソニー

◉魅せられて

◉情熱☆熱風☽せれなーで

夏色のナンシー

◉21世紀まで愛して

<ビクター>

◉卒業

◉まっ赤な女の子

TVの国からキラキラ

◉チェック・ポイント

その中でもやはり斉藤由貴の「卒業」は忘れられない。


斉藤由貴 - 卒業

f:id:hze01112:20201014141230j:plain

 そんな思い出は尽きない。