ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

小さなYeah6〜花火

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シーズン2「自由よ永遠に」より

日本で花火というと夏の風物詩であり、その地域の夏祭りと共に打ち上げられることが多い。例えば長岡花火は空襲のあった8月2日に打ち上げられて、戦争の記憶を今に伝えている。同じ夏でもアメリカの花火は7月4日の独立記念日を思い出す。

ドラマでも独立記念日の花火が2回描かれた。シーズン2の「自由よ永遠に」の回ではウォルナット・グローブで独立100周年を祝うために花火が打ち上げられる。その花火を見つめるローラたちの表情を映し出すシーンには「アメリカ・ザ・ビューティフル」のメロディが流れて、まさにアメリカ賛歌になっていた。この歌は今でも多くのアーティストによって歌われているが、やはり子供たちの歌声が良い。


America the Beautiful | One Voice Children's Choir

 前にバリー・マニロウの記事でも紹介したが、独立記念日のイベントで歌われたものとしてはこれが最高だろう。偽牧師を演じたジョニー・キャッシュも歌っているが、ここで花火が打ち上げられたら完璧だった。


Barry Manilow - America The Beautiful/One Voice (Live)

 

シーズン5の「なつかしの故郷へ」(前編)では同じ花火でも様相は一変する。素朴な田舎の花火に対して都会の花火はアクシデントと共に狂乱の象徴となる。独立記念日と言っても都会の人間にとっては週末のギャンブルの方が大切なのだ。

ウイノカの街で独立記念日の花火を上げたいと思うローラたちだが、寄付はなかなか集まらない。オルソンにいくらかかるか聞いたところ50ドルは最低でもかかるという。

そこに宝くじで5,000ドルを当てたというトビーが現れて花火を用意してくれることになる。ところが元々ギャンブル好きのトビーは支配人の罠にかかり全財産を巻きあげられたうえに、100ドルで買った花火も没収されてしまう。しかし、アクシデントが起きて花火が打ち上がることになる。

当初はチャールズが打ち上げることになっていたことからも分かるが、アメリカの花火はダイナマイトのような円筒型になっており、爆薬と同じような扱いだったようである。それだけに誤って着火してしまうとどうなるかはドラマを見ての通りである。

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そのドタバタ騒動が見ていて楽しかった。真珠湾攻撃後のロスでの大騒動を描いたスピルバーグのドタバタ喜劇「1941」を思い出してしまった。ジョン・ウィリアムズの音楽も大好きだ。


WILLIAMS March from 1941 - "The President's Own" United States Marine Band

戦後70年の2015年の8月15日に、その真珠湾で長岡花火が打ち上げられた時は感慨深かったものである。


【終戦70周年記念】真珠湾長岡花火 平原綾香-Jupiter(Pearl Harbor Fireworks)

昨年はコロナで中止になってしまった花火大会だが、今年はどうなることだろうか。

【名曲】日曜はダメよ

今日は雪ではなく雨が降っている。雪は無音で降り続き、翌朝に世界を一変させる。それに対して雨はその存在をきちんと伝えてくる。豪雨は恐ろしいが、適度な雨音は心地良い。特に今は雪を溶かしてくれる雨はまさに恵みの雨だ。

そんな日曜日の午後、久々にCDで映画「日曜はダメよ」のサントラを聴いた。

日曜はダメよ

日曜はダメよ

 
日曜はダメよ [DVD]

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  • 発売日: 2013/03/02
  • メディア: DVD
 

日本では1961年に公開されたギリシャを舞台にした映画であるが、その音楽が実に魅力的である。映画はだいぶ前に見たような気もするが内容はもう覚えていない。でもアカデミー賞で歌曲賞を受賞したマノス・ハジダキスによるサントラはお気に入りである。あの「魅せられて」でも使われたブズーキによる演奏が印象的である。メリナ・メルクーリがレコードを聴きながら歌うシーンは魅惑的だ。


『日曜日はダメよ(Never on Sunday)』よりTa Paidia Tou Piraia 1960.

主題歌には多くのカバーがあるが大好きなジュリー・ロンドンの歌が良い。


New Wave27. Never On Sunday 「日曜は だめよ」 ジュリー ロンドン歌唱 日本語訳詞付

この曲を聴くと小学生の頃の日曜のお昼前のことを思い出す。当時、地元のラジオ局で放送されていた映画と同名の番組をよく聞いていた。リスナーからのドジ話を聞いて、「ダメでもともと!ダメでもともとじゃないすか!ど~んといきましょう ! 」と元気をもらっていたものである。

この番組は1975年から10年間続いたが、中学入学後は部活などで聞けないことが多くなったので、やはり最初の1年間の記憶が大きいようである。お昼前の11時から30分間はまさに至福のひと時だった。その前後の番組の記憶はないが、玉置宏の歌謡曲の番組なども聞いていたような気がする。

小学生にとってはAMラジオを一人で聞くことで大人の気分を味わっていたのかもしれない。このテーマ曲が艶っぽいことなど知らずに聞いてはいたが、映画音楽に親しむ素地の一つになったことは間違いない。

その番組のDJくず哲也が先週の日曜日(1月31日)に73歳で亡くなった。その訃報を知って一気にあの頃の思い出が蘇ってきたのは言うまでもない。


くず哲也の日曜はダメよ

大雪原の小さなYeah2〜北海道のドラマ

2月になって天気は目まぐるしく変わる。例年より1日早い節分、立春は大雪だった。東京では早くも春一番が吹いたようだが、こちらでは猛吹雪だった。

先週の土日は雪のためBSはほぼ映らず、楽しみにしていた番組が見られなかったが、今日は久々に快晴となり安堵といったところ。

そこで久々に昼前に散歩に出かけた。最高気温も8度まで上がり、背丈を超えて積もっている雪が陽に照らされて眩しかった。1月には見えていた標識も完全に埋まってしまった。

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先日、国会中継を見ていたら北海道出身の議員が豪雪災害にももっと目を向けて欲しいと、至極まっとうなことを述べていた。それに対して秋田出身の総理は融雪災害を含めて対処していきたいと答えていたが何だか頼りない。コロナへの対応だけでも後手後手なので信用できない。同じ雪国出身の総理では(色々あったものの)田中角栄は凄かったと改めて思う。

そんな厳しい冬が続く北海道を舞台にした昔の北海道放送制作のドラマを見ている。今日は日曜劇場で1986年に放送された「女流マンガ家故郷に帰る」を見た。脚本は大好きだった朝ドラ「心はいつもラムネ色」を手がけた冨川元文なので新藤栄作が出演しているが、ヒロインは桜田淳子

漫画家を志して上京した桜田が新藤と共に8年ぶりに積丹に帰郷して波紋が広がるというストーリー。訳ありの女性を桜田がコミカルに演じて印象的。今BSPで再放送中の朝ドラ「澪つくし」でのお嬢様キャラも最高で、改めて女優としての桜田を見直しているところ。

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それから予想以上に良かったのが三田寛子がヒロインを演じた「A列車で行こう」という回。結婚を目前にした三田が、幼い時に出て行った本当の父親に会いに札幌から稚内まで行くというストーリー。その父親が元ジャズ・ピアニストということで、「A列車で行こう」のレコードが重要なアイテムになる。音楽は前田憲男。父親を川谷拓三、母親を日色ともゑ、同行する若者を杉本哲太が演じている。娘を心配する日色の姿は「大草原」のキャロラインそのものだった。再婚した父親を名古屋章が演じ、娘を中心にそれぞれの心の揺れが丁寧に描かれていた。さらに三田に思いを寄せる杉本が良いアクセントになって印象的だった。

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脚本は岩佐憲一。

1955年、札幌生まれで漫画家を志して上京。

85年、創作テレビドラマ脚本懸賞募集で入選。

86年、日曜劇場「A列車でいこう」でデビュー。

87年「乾杯!春いちばん」(中部日本放送)が民間放送連盟賞受賞。

89年、再開されたTBS金曜ドラマの第一弾として「雨よりも優しく」を執筆。以後、TVドラマをコンスタントに発表する。

96年7月17日逝去。

漫画家志望だったということでは古沢良太と同じであるが、残念ながら41歳という若さで亡くなっている。これまで知らなかったがデビュー作でこのクォリティーは見事であり、他の作品も見たくなってしまった。このように、何となく見たドラマが良かったりすると、何だか得したような気分になる。

今、日曜の夜9時からTBSで放送しているドラマは森下佳子脚本による「天国と地獄」で、実に面白い。森下脚本ではあの「JIN-仁-」もこの日曜劇場で放送されているように高視聴率で話題のドラマが多い。

しかし、かつては1話完結で地味だけど質の良いドラマを数多く放送してきた枠でもある。それが1993年の山田太一脚本「丘の上の向日葵」から現在のような連ドラになったということである。

連ドラになってからの作品は忘れられないものが多いが、このように単発の作品にも印象的なものが多いというのも事実である。その他にも真野響子演じるラジオのDJと平田満演じる同級生の漁師との恋模様を描いた「京子より愛をこめて」も良かった。平田の知り合いでコメディアンを目指す役で柳沢慎吾が自らの持ちネタを披露するというお遊びも最高だった。

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 京子と言えば今は個人的には芳根京子ということになり、芳根も北海道テレビ放送制作の「チャンネルはそのまま!」で見事なコメディエンヌぶりを見せてくれたのは記憶に新しい。

今は「あのコの夢を見たんです。」に続き、「君と世界が終わる日に」に出演中。初回で看板に芳根の顔があったのは気づいたが、正直見続ける気にはなれずに2話は見なかった。それが3話から出演すると知り見てみたら芳根のキャラが面白くて視聴を継続することにした。それにしても芳根だけでなく中条あやみ、飯豊まりえと3人も「あのコの夢を見たんです。」のヒロインが出演しているというのも贅沢である。

朝ドラヒロインでは戸田恵梨香が出演している「俺の家の話」も切実でありながら面白い。でも、個人的には朝ドラで見たい小芝風花がヒロインの「モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜」が一番である。

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小さなYeah5〜ナイトキャップ

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シーズン1「すばらしい収穫」より

昼間のボンネットに対して夜はやはりナイトキャップである。個人的にドラマで特に好きなのはローラとメアリーが寝る前にするベッドでの他愛もないおしゃべりである。その時に二人が被っているのがナイトキャップである。

これは日本のドラマでは滅多に見ることはないが、今でも普通に売られている物である。特にロングヘアの女性には実用的には違いない。男性用もありドラマでもオルソンがサンタ帽のようなナイトキャップを被っていたような気がする。

このサンタ帽がナイトキャップなのかは分からないが、ある種の妖精はナイトキャップを被るとのこと。「白雪姫」の7人の小人もそれっぽいのを被っている。子供時代のローラとメアリーは大草原の妖精みたいな存在だから、ナイトキャップが似合って当然ではある。

そういう意味ではドラマの中でのナイトキャップは幸せだった子供時代の象徴みたいなものでもある。どんなに大変なことが起こっても、二人のベッドでのシーンが癒しになる。子供にとってはドラマそのものが寝る前の読み聞かせみたいなものである。

そんな読み聞かせに最適な絵本が「ナイトキャット」。ネコのマイキーでお馴染みのリサ・ラーソンによる絵本である。

ナイト キャット

ナイト キャット

 

ドラマでもネコは何度か登場するが、シーズン1の「サーカスのおじさん」でジャックが追いかけたネコが印象的。

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シーズン1といえば「メアリーの失敗」と「あらいぐま見つけた」で描かれた悲しいメアリーのナイトキャップも印象的だった。

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それに対してローラはシーズン3の「祈りの森」では背が伸びたように偽装するためにナイトキャップを利用する。バカバカしくも狩りに行きたいという強い思いが伝わってくる。そんなローラはシーズン5でも同じようなナイトキャップを被っているが、装いは少しオシャレになったようである。

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小さなYeah4~ボンネット

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シーズン1「すばらしい収穫」より

ドラマでもっとも印象的なファッション・アイテムはボンネット(bonnet)である。ヨーロッパの伝統的な帽子で、17世紀から18世紀にかけてよく使われていたらしい。元々は女性の既婚者が着用していたようでキャロラインにはマスト・アイテムだった。オープニングでボンネットを直すキャロラインの仕草が何とも魅力的である。

個人的には赤ちゃんが被るというイメージがあるが、最近では見ていないような気がする。ドラマでも初期の頃はローラたちも使っているので、年齢に関係なく幅広く流通していたようである。

特にシーズン1の「わたしの母さん」の回でのカントリー・ガールズのボンネット姿はチャーミングである。外での日差しや砂埃から髪を守る役目を果たしていたのかもしれないが、思春期になると被らなくなってくるのでオシャレではなく、あくまでも実用的なものだったようである。それでも被らずに下げているだけでも首元の良いアクセントになっていたのも事実である。

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お嬢様のネリーも被っているが、さすがにオシャレである。

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このネリーの姿を見ていると深田恭子が出演した映画「下妻物語」を思い出す。ロリータ・ファッションには詳しくはないが、この辺の影響もあるのだろう。

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魔法少女もののアニメのファッションも同じように見えてしまう。そういう意味では新しい吹替でのアニメ声も時代に合っているのかもしれない。これまでドラマを見たことのないアニメ好きの若い人が見たらどう思うのか、ちょっと興味がある。

そんな少女も成長して、やがて母親になる。そうなると一時離れていたボンネットに戻ってくるようである。そんなファッションの変遷を見るのも楽しいものである。

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