高校時代には、日記とは別に、映画の感想を1作品、1枚でカードに記載していた。その中から1979年に映画館で観た映画の中でお気に入りをセレクト。高校生ならではの甘さもあるが、どれも大好きな映画だ。当然、サントラもすべてお気に入り。
1979年2月10日(土)
「ナイル殺人事件」
☆☆☆☆★★
2時間20分を一気に見せる面白さ。エジプトの美しい風景、古代遺跡の雄大さ、ナイルを下る船内の豪華さと、観光映画としても楽しめるうえに、推理映画としても面白い。コロンボと違い、本当に誰が犯人か分からず、意外な真犯人を暴くポアロの推理を堪能した。とにかく大作というのに相応しい映画だった。
☆☆☆
アニメ映画だといってバカにできない密度の濃いドラマだった。色彩も鮮やかで、最近では最上ではないかと思う。ストーリーは奇想天外で実写では到底、作れない。ラストのSF風なルパンの活躍に手に汗握った。
この2本立てでは、やはり「ナイル殺人事件」が印象的。先日もBSで放映したのを見たが、本当によく出来ている。ニーノ・ロータのサントラも、まさに熟成された香り漂うワインのようだ。「ルパン」は録画してあるが、しばらく見ていない。これはこれで面白いが、次回作があまりに凄いので、割を食っている。
1979年3月3日(土)
「ジョーズ2」
☆☆☆★★
やはり続編は面白くなかった。始まってからサメがどんどん出てくるが機械だとすぐ分かる。どうも白けてサスペンスどころではない。改めてスピルバーグの巧さを感じる。サメが少年たちのヨットを追い回すシーンは面白かったが、肝心のサメ退治に満足感が全くなかった。期待外れ。
「グレート・スタントマン」
☆☆☆★★★
スタントシーンの数々には、さすが本物という感じで圧巻だった。家々が爆発する中、バート・レイノルズとジャン・マイケル・ビンセントが車をとばし、崩れた橋を跳び越すシーンは手に汗握る大アクション。スタントマンの世界の男らしさと人情の厚さが印象的で、ラストも良い。
この2本立ても、公開以来、見ていない。「ジョーズ2」はジョン・ウィリアムスのサントラは良いのだが高すぎて買えない。ハープが印象的なメインタイトルはベスト・アルバムに収録されているのを持っている。
1979年3月17日(土)
「サスペリア2」
☆☆☆
「フューリー」のクールな感覚に比べると、こちらはドロドロしていて苦手だ。血の出し方も前者は美しくさえあるが、こちらは何とも重苦しい。前作みたいなショック描写や幻想的な美しさはなく、推理ミステリーみたいで内容が分からないものになっている。残酷シーンは本当に気持ち悪かった。
「フューリー」
☆☆☆☆
「キャリー」も良かったが、本作はそれ以上だった。オープニングの銃撃戦から手に汗握り、スパイ映画の面白さ。それが、エスパーものに変わり、ラストへとつないでいく。ラストのショック演出も健在で、「オーメン」以上のサスペンス・スリラーだった。カーク・ダグラスも良くて、主人公の哀しみもにじみ出て、ジーンときた。
この2本立ては魅力的だ。当時は「サスペリア2」には乗れなかったようだが、今は見直したい1本。最近見直した1作目が良かったし、ゴブリンのサントラはお気に入りだったりする。「フューリー」はDVDはあるが、HD版で観たい。サントラはCD未購入。
1979年6月18日(月)
「エーゲ海に捧ぐ」
☆☆☆★★
なんてことはなく、初めから裸女が出てきて、全編そんな感じ。ストーリーなんて関係なく、そんなシーンだけで楽しめる。映像は評判通り美しく、エーゲ海のシーンは素晴らしい。何より、エンニオ・モリコーネの音楽が良かった。
「レガシー」
☆☆☆★★
もう、この手のオカルトには飽きてしまった。イギリスの田舎の古屋敷を舞台に繰り広げられるストーリーもショック・シーンもパターン化して退屈。ただ、ドルビーによる音響効果が迫力があった。
この2本立ては高校生には魅力的。「レガシー」を見に行ったと言えばいいのだ。当然、目的は「エーゲ海」。当時、ジュディ・オングの歌も大ヒットしていたが、モリコーネに言及しているのは偉い。でも、当時、サントラは買わずCDを買ったのは随分と後になってしまった。「レガシー」の監督はその後、「スター・ウォーズ・ジェダイの帰還」に大抜擢される。
1979年7月7日(土)
「オーメン2・ダミアン」
☆☆☆★★
あまりに前作に似ていて新鮮味のないオカルトの続編。アイデアは駆使して、それなりに衝撃的だが、サスペンスがない。もう、このくらいでは正直、怖くないのだ。
「マジック」
☆☆☆★★
現代版ジキルとハイドみたいなストーリー。人形がなんとも不気味で、不可解で恐ろしい話だった。
この2本立ても豪華だ。当時はホラーに飽きていたようだが、ゴールドスミスのサントラはどちらも傑作。
1979年8月14日(火)
「銀河鉄道999」
☆☆☆☆★
松本零士のこのアニメは、やはり魅力いっぱいだった。前半はテレビと同じで意外性はないが、後半は俄然、面白くなる。メーテル星での戦闘シーンも凄いが、ラストの哀愁が魅力的。ハーロック、エメラルダスなど登場人物も豊かで、音楽も最高だった。
「エイリアン」
☆☆☆☆★★
久々にサスペンスを堪能した。映画そのものとしても「スター・ウォーズ」に勝るとも劣らない見事な出来だった。見るまでは単なるゲテモノと早とちりしていたが、エイリアンの惑星のこの世のもとは思えない風景など、まさに美術と装置の勝利。ジェリー・ゴールドスミスの音楽も見事だ。まさにSFスリラーの傑作。
8月28日(火)
「スーパーマン」
☆☆☆☆★
オープニングのクレジットが素晴らしかった。大宇宙の手前から彼方へ流れていくクレジットとジョン・ウィリアムスの音楽の相乗効果で、物語への期待が膨らむ。娯楽ものとしてはそれなりに楽しめたが、正直なところ「スター・ウォーズ」のような胸躍るような感じはなかった。期待が大きかった分、何となくあっけなかった。
「リトル・ロマンス」
☆☆☆☆
久々に爽やかなラブ・ストーリーだった。愛の伝説を信じて、ゴンドラに乗り、鐘の鳴り響くベニスの溜息の橋の下でのサンセット・キス。主演2人の瑞々しさに、ローレンス・オリビエの演技。彼らのかけあいが面白く、魅力的だった。
10月10日(水)
「ディア・ハンター」
☆☆☆☆☆
とにかく重々しい感動と衝撃を受けた。ベトナム戦争がアメリカの若者に与えた傷跡。戦地でのロシアン・ルーレットの物凄さ。本当に目を覆いたくなるほどの迫真の演技だった。山奥で鹿を撃とうとするシーンの美しさは圧巻。ラスト、ギターの哀しい音が胸に染み込んだ。戦争とは何て恐ろしいのか刻み込まれた。とにかく今まで見てきた映画の中で最高傑作だ。
10月28日(日)
「ロッキー2」
☆☆☆☆★★★
「ディア・ハンター」が重い感動であるならば、本作は熱い感動に他ならない。
前作のラストシーンから始まり、エイドリアンとの結婚、そして彼女の入院。喜びと悲しみなどロッキーの人間性が十分すぎるほど伝わってくる。色々あって悩みから解放されたロッキーの姿が胸に迫る。ロッキーのテーマが流れて、一気に盛り上がる。アポロとの再試合は、滅多に味わえない興奮。前作以上に見ごたえがあったPart2だった。
12月22日(土)
「007/ムーンレイカー」
☆☆☆☆★★★
とにかく凄い作品だ。やはり007は他のアクション映画と一味違うと実感。タイトルバックでの空中アクロバット・シーンの凄さ。タイトルの美しさとシャリー・バッシーの歌も言うことなし。とにかく全編、ワクワクさせてくれる。宇宙ステーションの戦いはSFものの極めつけといった感じで最高。本当に贅沢で、2時間があっという間だったので、続けてもう1回見てしまった。
当時、購入したレコード。すべてに「ムーンレイカー」が入っている。