ささやかな日常の記録

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「トリコロール」

トリコロールといえばフランスの国旗を連想する方が多いと思う。自由、平等、博愛を表現した青、白、赤の三色のこと。これをモチーフにしたフランス映画がある。1994年7月に日本で公開された「トリコロール/青の愛」。同じく8月に公開された「トリコロール/白の愛」。そして11月に公開された「トリコロール/赤の愛」。監督はすべてクシシュトフ・キェシロフスキ。主演女優は青がジュリエット・ビノシュ。白がジュリー・デルピー。赤がイレーヌ・ジャコブ

公開当時、3本とも渋谷のル・シネマに観に行った。この劇場は有閑マダム御用達のようなイメージで、あまり好きではなかった。それでも足しげく通ったのは、監督と主演女優と作曲家が大好きだったからに他ならない。監督と作曲家ズビグニエフ・プレイスネルによる「デカローグ」と「ふたりのベロニカ」は最高だった。それだけでも十分だが、ジュリエットとジュリーは「汚れた血」に出ていたし、イレーヌに至っては監督の秘蔵っ子として「ふたりのベロニカ」に主演していた。いやがうえでも期待は高まり、当然のように鑑賞券を購入した。

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こうして並べてみると、当時の記憶が甦る。まさに美女の揃い踏みといった感がある。映画もとにかく素晴らしかった。白だけがちょっと異色だったが、今ではこれが一番しっくりきたりもする。青のひんやりとした冷たさと荘厳さ、白の荒涼とした空虚さ、赤の暖かさと華やかさ。そうした感情が映像と音楽によって醸し出されていくことの快感。

サントラは3作とも購入し、当時はレーザーディスクで青と赤を購入した。残念ながら監督は赤が遺作になった。ジュリエットはその後、「イングリッシュ・ペイシェント」に出演。ジュリーは「恋人たちの距離」に出演し、その後も続編に出続けて年を重ねていった。イレーネはハリウッドで「追跡者」に出たが、残念ながらブレークしなかった。それぞれ、懐かしい思い出だ。