ささやかな日常の記録

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映画「ブルークリスマス」

日本映画専門チャンネルにて「ブルークリスマス」鑑賞(ネタバレあり)。

1978年11月公開だが、当時の記憶はない。そのため今回が初めての鑑賞になる。岡本喜八監督によるSFというよりも、倉本聰脚本によるSFドラマに興味があった。話としてはそれなりに面白い。UFOの光を浴びた人間の血液が青に変わる。それを恐れた国家が変質した人間たちを抹殺していく。いかにもX-ファイルにありそうなストーリーだし、国家権力による謀殺を描き、政治サスペンス的な面白さもあった。

しかし、いかんせん映像が地味すぎる。特撮を使わないSFというのが当時の売りだったようだが、これでは多くの観客は退屈したことだろう。テレビで見る分には良いとしても、劇場の大画面で見るには問題ありだろう。クリスマスの虐殺シーンくらいしか派手なアクションがない。

それでもキャストは豪華で政府側の暗殺者を演じる勝野洋と、ターゲットとなる竹下景子との恋路にはハラハラさせられた。ラストで白い雪の上に青い血が流れていくシーンは印象的だ。阿武隈川を見せたいと勝野が竹下を故郷に連れていくシーンも美しくも切ない。

その竹下の兄を演じるのが田中邦衛。事件を追う記者役が仲代達也。この男性3人がみな短い角刈りでパッと見で区別がつかないのも面白かった。そして何よりも竹下の若々しい美しさ。まさに紅一点だった。

前半で大河ドラマに抜擢された新人女優が消されてしまうというエピソードは、いかにもテレビ局でありそうでスリリングであった。倉本自身、大河「勝海舟」で降板させられたという事実があるだけに興味深かった。

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 倉本脚本で高倉健主演の「冬の華」はこの年の6月に公開。音楽の佐藤勝はこの年に同じような題材の「皇帝のいない八月」も担当。竹下景子はこの年の大河ドラマ黄金の日日」にも出演している。


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