ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

鶴橋康夫のドラマ

新旧のドラマ、映画を色々と見ているが、なかなか感想を書くことができない。次々と見たい番組が放送されるので、録画するだけでも大変だ。録画はたまる一方で、なかなか消化できない。それでも時間を見つけては少しずつでも見ようとしている。

若い頃はそれこそ朝から晩まで映画を見続けることができた。オールナイトで寝ないで見るなんてこともあった。そうして見てきた過去の映画が、現在HDで次々と放送されているのだ。昔、一度でも映画館で観た映画は、どうしても見直したくなってしまう。過去、小さなテレビで見ていたドラマもそうだ。

そうした作品は個人の記憶と密接だから、懐古や回顧には欠かせない。思いは募っても、それを表現するのは難しい。それでも、ささやかな記憶をとどめたいと思う。

現在公開中の映画「のみとり侍」の鶴橋康夫監督は御年78歳。過去、優れたテレビドラマを数多く製作してきた。特に2004年に放送された「砦なき者」は脚本の野沢尚の死とともに忘れられない。

その野沢が1990年に手がけた「愛の世界」を今回、初めて見ることができた。ちょうど現在放映中の朝ドラ「半分、青い。」が描いている時代だ。当然ながら、あの頃の空気感は当時のドラマに濃厚だ。新聞記者役で大竹しのぶ役所広司が主演、この二人の確執が描かれる。女性が社会で活躍することの大変さや、フェイク・ニュースなど、まったく古びてない内容が凄い。当時、日比谷公園が通勤ルートだったので、あの頃の風景が懐かしい。撮影の現場には何度も出くわしたが、当時は忙しくてテレビを見る時間はなかった。それが今こうして、当時撮影していたドラマを見ることができるのは嬉しいものだ。

f:id:hze01112:20190307184305j:plain

それから1999年に放送された「刑事たちの夏」も見ることができた。こちらも役所と大竹が出演し、大蔵省の汚職を巡る陰謀が描かれ、まさにタイムリー。巨悪に立ち向かう刑事と検察の姿を見て、ドラマながらアッパレと思った。現実ではこうはいかないのが空しい。こちらも上野の不忍池脇にあった今は無いホテルの建物が映っており貴重であった。

映画では以前に「後妻業の女」を見たが、こちらも大竹が結婚詐欺師を演じ相棒役が豊川悦司。その胡散臭さは「半分、青い。」の漫画家をはるかに超える。ブラック・コメディながらも社会問題を見据える目は冷徹である。

1988年に放送されたドラマ「おれは裸だ」は明石家さんま主演のブラック・コメディ。こちらは原作が筒井康隆でドタバタでありながら、人間の愚かしさと哀しさが漂う。佐藤慶浅丘ルリ子、奥田瑛ニといったベテランの演技が凄い。