昨年公開された映画「関ケ原」を見た。1時間ほど見続けたが、まるでセリフが頭に入ってこない。ついに耳がおかしくなってしまったのかと思った。
関ケ原の戦いは大河ドラマで何度も描かれていてファンも多い。かつてTBSが放映したドラマ「関ケ原」は圧倒的なスケールで最高に面白かった。石田三成を加藤剛、徳川家康を森繁久彌が演じた。
自分が初めて大河ドラマを完走したのが1978年放映の「黄金の日日」だった。石田三成は近藤正臣、徳川家康は児玉清が演じた。ちなみに本作と「獅子の時代」はDVDで全話揃えたくらい大好きなドラマである。
これらのドラマの影響もあって昔から西軍びいきだった。石田三成のキャラクターが大好きで、滅びの美学に魅了される原点にもなっている。
それだけに映画版も楽しみにしていた。石田三成が岡田准一、徳川家康が役所広司という布陣だったが期待外れもいいところだ。ネットを見たら「セリフが聞き取れない」という声が多く、自分だけではなかったと安心した。
石田三成を誰が演じるのかということも、戦国時代のドラマを見る楽しみの一つである。最近でも山本耕史や小栗旬といった若手が演じて、それなりに魅力的だった。個人的には長谷川博己あたりが良いのではないかと思っていた。いかにも滅びの美学を魅力的に演じてくれそうな気がしていた。
そうしたら2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」で明智光秀を演じることが決まったという。滅びの美学ということで言えば、こちらのほうが強烈かもしれない。これはもう、今から楽しみである。さらに10月からの朝ドラ「まんぷく」ではヒロインの相手役にも選ばれたとのこと。現在放映中の朝ドラに乗りきれていないので、これは嬉しい。
長谷川を初めて認識したのが古沢良太脚本のドラマ「鈴木先生」である。
彼の演じた中学教師があまりにもユニークであり、魅力的だった。教育実習で母校の中学で教えた経験もあるだけに、リアルに共感できた。このドラマがテレビ東京で放映されたのが2011年4月からで、記録的な低視聴率だった。自分はすっかり魅せられてしまい、初めてamazonを使ってDVDを購入した。
このドラマの生徒役で土屋太鳳と松岡茉優も出演。写真はDVD特典のポストカードだが、どこに写っているか分かるだろうか。
その後、amazonから次々とお薦め商品のメールが届くようになった。そのなかに鈴木京香主演のドラマ「セカンドバージン」があった。当時、鈴木のベッドシーンが凄いと話題になっていたが、興味がなかった。その後、彼が鈴木の相手役で鈴木行という役を演じていることを知った。なんだか鈴木だらけでまぎらわしい。
それでも気になったので見てみることにした。そうしたら、これがとてつもなく面白かった。大石静の脚本がしっかりしているのでビジネスドラマとしても楽しめた。キャストも実に魅力的だった。黒い深田恭子が良かったし、作家役の草笛光子と布施明も悪くなかった。息子役が綾野剛で、その恋人役がYOUというのも新鮮だった。綾野と長谷川はこの後、大河ドラマ「八重の桜」でも共演。とにかく長谷川が絶頂から転落していくドラマとして、早くも滅びの美学を体現していたのが印象的だった。
それから、あの高視聴率ドラマ「家政婦のミタ」に出演。2011年には視聴率で最高と最低のドラマに出たことになる。2013年1月に映画「鈴木先生」公開。そのPRで古沢と共演のでんでんと3人でテレビ出演した時の姿が実に良かった。この2人のドラマがたまらなく見たいと思った。そして2015年に古沢と長谷川は「デート」で再び魅力的な作品を届けてくれた。
その後はテレビと映画で大活躍。
MOZU
夏目漱石の妻
獄門島
海月姫(映画)
ラブ&ピース
二重生活
などなど実に多彩な演技を見せてくれている。個人的にはMOZUで演じた悪役の捨て台詞「チャオ!」がお気に入り。猫のCMとともに、つい口ずさんでしまう。
この記事は映画「関ケ原」に敗北してしまって書くことができた。滅びの美学についても、いずれ書いてみたい。今後とも長谷川には猫のように変幻自在で魅力的な演技を見せて欲しいと思う。