ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「昨日、悲別で」

日本映画専門チャンネルでドラマ「昨日、悲別で」を見ている。日本映画を見るのだったらWOWOWだけで十分である。それでも加入しているのは脚本家、倉本聰山田太一のドラマが見たいからだ。

昨年の3月に倉本の「ライスカレー」が見たくて加入した。未見だった代表作「前略、おふくろ様」と「君は海を見たか」も見ることができた。

倉本ドラマと言えば多くの人が「北の国から」を思い出すだろう。これまで何回ともなく再放送されてきた名作だ。自分もリアルタイムで純と蛍の成長を見続けてきた。

それでも、主人公と同じ年代ということで「昨日、悲別で」と「ライスカレー」は特別な作品だ。

「昨日、悲別で」が放映されたのが1984年。自分にとっては色々な思い出のある特別な年だ。このドラマにはあの頃の思い出が凝縮されている。

昨夜は第4話が放映された。当然、見るのは34年ぶりになる。それなのに細部まで覚えているのが驚きだった。

久々に帰郷した主人公が悲別ロマン座という映画館跡でタップのリサイタルを開く。彼だけでは人が集まらないからと母親が画策してストリッパーを呼ぶことになる。その楽屋での会話が切なくて身に染みる。地方出身者でなければ分からない共感が溢れる。

f:id:hze01112:20190310130844j:plain

主人公を演じたのは天宮良。残念ながら、このデビュー作以上の役に恵まれなかったが、それだけに特別である。ロマン座の経営者を演じた千秋実が素晴らしい。

かつて地方の映画館は文化の発信地だった。主人公もここでミュージカルの洗礼を受け、上京してタップを学ぶことになった。彼の話を聞いて、千秋が「以って瞑すべし」と感極まるシーンは忘れがたい。

自分も寂れた映画館で多くの映画の洗礼を受けた。この映画館は「時代屋の女房」で知られる村松友視著「黄昏のムービー・パレス」で紹介された。今はもうない映画館の姿が、このドラマの悲別ロマン座に重なる。

かぐや姫の「22才の別れ」もドラマの主題歌として記憶に刻まれている。


22才の別れ