ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「義母と娘のブルース」と「ワンダーウォール」

8月になっても猛暑は継続中で、先が見えない。今日も本当に不快な暑さだった。

そんな不快さに輪をかけたのが朝ドラ「半分、青い。」だ。ヒロインに「死んでくれ」と言わせてしまう脚本に唖然としてしまった。これがNGワードにならないのも凄い。自分のブログなど、たびたびyahooからはじかれてしまう。先日の「ピーチガール」の記事のどの言葉がNGだったのか、さっぱり分からない。そんな言葉も、そこに至る必然性があれば納得できる。あまりにも唐突なので、見ていて感情が追いつかない。

それに対して昨夜の「義母と娘のブルース」は見事だった。偽装結婚という唐突な言葉を受けて、それを丁寧に解きほぐしていく。不自然な関係が自然に思えてくる。奇跡というものを信じたくなる。

笑って泣ける悲喜劇というドラマが最高だ。綾瀬はるか演じる義母が娘のために株式チャートのお弁当を作る。その過程が丁寧に描かれるから大笑いして共感できるのだ。

彼女が結婚を決めた理由もよく分かる。信長が主人公の漫画が作者急逝のため続きが読めなくなってしまう。その時の持っていき場のない感情をどうにかしたい。おかしくも切実な問題だ。手塚治虫が亡くなった時を思い出した。自分にとってはブログを書くのも一つの解決方法だったりする。

困難な問題に対処するのは大変だ。大変だからこそ、それがドラマになる。結果がどうなろうとも、そこに至る過程こそがドラマだと思う。「半分、青い。」はその過程を描いてくれないから、まるで共感できない。

「健康で文化的な最低限度の生活」における主人公の一生懸命な姿は悪くない。でも生活保護という問題がリアルすぎるので、単純に楽しめないところがある。問題提起としては十分だけど、やはり現実はこんなに甘くないと思う。主人公が自転車を走らせるシーンがある。これを先日の「透明なゆりかご」と比べるとその違いがよく分かる。気持ちの切実さを描くのは難しい。

7月25日にBSPで放映された京都発地域ドラマ「ワンダーウォール」を見た。「カーネーション」の渡辺あやが4年ぶりに手がけたドラマだ。ここには大学生の切実な思いが溢れていた。歴史のある学生寮を取り壊しから守るために大学側と交渉する姿は純粋だ。大学側はその窓口に壁を作るが、学生も伝統という壁に守られてきた。そんな現実と伝統のせめぎ合いの中で揺れる気持ちが懐かしい。

f:id:hze01112:20190310132325j:plain

京都を舞台にした青春群像劇というと、京都アニメーションの名作の数々がすぐに思い出される。でも、これは「四畳半神話体系」のような青年たちの物語。皆、どこにでもいそうな学生たちだ。そんな彼らの寮生活がリアルで楽しい。自分も古びた四畳半のアパートで4年間を過ごした。青臭い議論の数々に過ぎ去った大学時代が重なった。

最後、「響け!ユーフォニアム」を想起させる演奏シーンが印象的だった。音楽はアニメ「ひそねとまそたん」が最高だった岩崎太整。ドラマ「dele」も手がけており、ますます注目である。