ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

映画「めぐり逢い」

この時期、なぜかハートウォーミングな恋愛映画が見たくなる。未だにクリスマスが近づくと何だか落ち着かなくなってくるから妙なものだ。東京のこの時期はイルミネーションがきれいだった。

BSPで放映された「めぐり逢い」を見た。1957年制作のアメリカ映画。主演はケイリー・グラントとデボラ・カー。

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ケイリーの主演作では、ヒッチコックの「泥棒成金」と「北北西に進路を取れ」の間にあたる。デボラは前年に「王様と私」に出演している。本作での歌声もマーニ・ニクソンの吹替だ。マーニはジェリー・ゴールドスミス夫人だったこともある。

オープニングの雪景色の中で流れる主題歌に早くも魅せられた。豪華客船の中で出会った男女が恋に落ちる。二人にはそれぞれ恋人がいたが、半年後の7月に会うことを約束して別れる。そこから二人のすれ違いのドラマが動き出す。そしてクライマックスはクリスマス。あの「君の名は。」の源流とも言える古典的なラブストーリーだ。


An Affair To Remember Trailer

船内での二人はまるでラブコメの登場人物のように可笑しくて楽しい。途中、南仏で下船してからの展開が印象的だった。男の祖母が一人で思い出の中に生きていて、その敷地内にチャペルがある。

別れ際に祖母がピアノを弾き、歌手の女が合わせて歌う。それが主題歌の「想い出の恋」だ。ピアノの音に汽笛の音が重なる。祖母は「汽笛の音は嫌い」と言う。

男は画家で、祖母に亡くなった祖父のポートレートをプレゼントする。祖母は女に白いショールをプレゼントすることを約束する。そんな何気ない日常の描写が素晴らしい。

エンパイア・ステート・ビルの展望台での再会は果たしてどうなるか・・・。今だったら成立しないシチュエーションだけど、それが良い。待つことで気持ちが昂る。

スマホなんてなかった頃、待つことは喜びだった。ちょっと早めに待ち合わせ場所に来て、道行く人々を見ているのが好きだった。有楽町マリオンの時計台の反対側でよく待ち合わせたものである。時には連絡がつかずに何時間も待たされたこともあった。そんな時の内心は複雑だった。色々なことを考えた。そんな心の葛藤がドラマになる。閉ざされた心の扉を開けることで真実が見えてくる。

この映画のことは以前から知っていた。1993年に公開された「めぐり逢えたら」を観た時に知った。トム・ハンクスメグ・ライアンが主演。当時、ドリカムの「WINTER SONG」収録のサントラを購入した。

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このサントラに「過ぎし日の恋」としてインストで収録されてた曲がある。これが「めぐり逢い」からの1曲だった。当時、値段が安いサントラはとりあえず購入していた。そこに「めぐり逢い」のサントラもあったので、つい映画も見たつもりになっていた。

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ところが今回見たのが初めてだった。すっかり魅せられてしまい、録画をBD化し残すことにした。音楽とともに感動の余韻が心地良かった。そのサントラも、当時はあまりピンとこなかったが、改めて聴くと実に良い。こうしたことがあるから古いCDも処分できないのだ。

改めて「めぐり逢えたら」のサントラも聴いてみた。こちらもスタンダード・ナンバーが多彩で魅力的だ。ドリカムの歌もすっかり馴染んでしまっていた。監督のノーラ・エフロンによるライナーを読んで納得した。

言葉は時を超えて存在する。私たちは言葉が映像と同じくらい重要であるような、映画をつくりたかった。そして言葉が音と同じくらい重要であるような曲が欲しかった。

その歌詞をじっくりと読んでみると、その言葉が胸に響いてくる。印象的なメロディがより陰影を帯びてくる。こういう時に日本版の訳詞がありがたい。


An Affair to Remember (from "Sleepless in Seattle") (Piano Cover; comp. by Harry Warren)

この「めぐり逢い」には1994年制作のリメイクもある。ウォーレン・ベイティアネット・ベニング主演。前年の「バグジー」は観たが、こちらは見ていない(はず)。それでも、これもサントラだけは持っていた。

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なぜならば音楽がエンニオ・モリコーネだったからだ。当時はモリコーネであればなんでも良かった。このサントラが「めぐり逢い」だったことに今回初めて気がついたほどだ。こちらもモリコーネのノスタルジックで美しいメロディが素晴らしい。

ここ数日、すっかり冷え込んで寒い日が続いている。こんな日に聴くサントラもまた格別である。この3枚のサントラが心を少し温めてくれたようである。