ささやかな日常の記録

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母性ってなに「透明なゆりかご」第2話

午前中ほんの少しだけ雨が降った。気温は30度を超えていても、それだけで涼しく感じてしまう。

今朝の「半分、青い。」ではヒロインの出産が描かれた。朝ドラにおいてヒロインが母親になるのは大きな山場である。それなのに全く気持ちが動かなかった。昨日、妊娠が分かって、今日もう出産では当たり前ではある。ここまでヒロインに母性を感じないのも珍しい。

BSPでその前に放映された再放送の「マッサン」は良かった。養女のエマが真実を知ったうえでエリーたちに感謝の作文を読む。それを聞いて涙ぐむエリーの姿からは母性が溢れていた。演じるシャーロットと住田萌乃が本当の親子のようだった。

昨夜のドラマ10「透明なゆりかご」第2話はいきなりの神回だった。

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 タイトルは「母性ってなに」

アオイ(清原果耶)は、出産直後の赤ん坊が医院の表に捨てられているのを発見する。由比(瀬戸康史)らの必死の処置で赤ちゃんは一命を取りとめ、アオイがお世話をすることに。その愛くるしさにアオイは知らず知らず愛情を抱いていくが、紗也子(水川あさみ)に「あまり入れ込まない方が」とたしなめられる。一方、里佳子(平岩紙)という妊婦が、妊娠を継続すべきか悩んでいた。彼女は、無理に出産すれば失明する恐れがあって…。

内容も良かったが、とにかく映画的な深みのある映像に圧倒された。登場する女性が皆、現実を生きている感じがするのが素晴らしい。

マイコ演じる普通に幸せそうな妊婦。

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平岩紙演じる妊婦は1型糖尿病で出産にリスクが伴い迷っている。

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蒔田彩珠演じる女子高生はこどもを風呂場で産んで病院前に置き去りにした。

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それを見つけたのが清原果耶演じる看護アルバイトのヒロイン。シズカと名前を付けて懸命に世話をする姿は実に魅力的で美しい。集中すると周りの様子も分からなくなる姿はちょっとおかしくもある。ユーモラスというよりも病的な感じが気になるが、それでも応援したくなるヒロインの姿だ。今の朝ドラよりもよほど朝ドラらしい。

そんな彼女が突然の母性の目覚めに戸惑う姿が印象的だ。そうした感情は悩んでいた妊婦にも及び、命をかけて出産しようと決意させる。そして女子高生に対しては怒りを覚えてしまう。彼女に物申すために自転車を走らせる。そのシーンに女子高生がこどもを捨てるために自転車を走らせる姿が重なる。2人の少女が強い思いを持って海辺の風景を疾走する。こんなにも切なくて瑞々しいシーンをこうしたドラマで見られるとは思わなかった。演じた清原と蒔田、どちらも素晴らしかった。

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そんな突っ走る清原に水川あさみ演じるベテラン看護師が優しく正すのも良い。赤ちゃんだけを見てはいけない。妊娠が分かった時は3月、その時どんな気持ちで桜を見たのかと想像させる。そして後になって、実際に桜の前に佇む姿が描かれる。実に印象的で見事な演出である。

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自分には妊婦の気持ちや、母性なんか分かろうはずもない。それでも想像することはできる。お腹の中に海があり、ヨットがある。風を孕むって素敵なイメージだ。

正直なところ、このドラマこそ朝ドラとして多くの人に見てもらいたいと思った。これからのヒロインの成長が楽しみだ。