ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「透明なゆりかご」第7話

少女たちの切ない思いに感情が揺さぶられた。8月最後の日の夜に放映された二つのドラマに圧倒させられつつ、今を生きる少女たちには頑張って生きて欲しいと願わずにはいられない。この世界は汚いかもしれないけど光はある。

「透明なゆりかご」では初めて主人公アオイの過去が描かれた。これまでユーモラスに描かれてきた変な行動の原因は注意欠陥多動性障害だった。注意散漫で、集中すると周りのことが気にならなくなってしまう。これを喘息と同じようなものと例えるのには抵抗はあったが、特別な事ではないということ。

自分は幼い頃、小児喘息だったので色々と大変だった。発作が出た時など母親も大変だったことだろう。母親がいらついている感じは、子供心にも感じることはあった。今なら母親の気持ちが分かるし、感謝の気持ちしかない。それだけにアオイと母親との関係は痛いほどよく分かった。アオイが母子手帳を見て、母親のことを想像するシーンは印象的だった。

一方、アオイの同級生だった少女(片山友希)は、母親に虐待を受けて育った。

f:id:hze01112:20190302102149j:plain

その境遇はあまりにも悲惨だが、幼い二人が母子手帳を読む描写など実に見事だった。母子手帳には愛されて生まれてきた事実が刻まれている。だから悲惨な状況にあっても生きていく支えになる。そんな少女が自ら母子手帳を手にして言葉を綴るシーンが愛おしい。小さな手帳に刻まれた言葉は時を超えて伝わっていく。

朝ドラ「半分、青い。」にも同じようなシーンが描かれたが、まるで感動できなかった。なぜ思いを託す相手が嫁(石橋静河)ではなかったのか。今朝の放送でもとってつけたような夫婦の会話があったが、ここで手渡したら感動的だったと思う。

「dele」では中3の少女の死が描かれ、その真相は少女のパソコンの中に隠されていた。ここではさりげなくいじめの問題も出てきて、「アンナチュラル」を思い出した。なぜ少女は死を選択したのか。光に包まれていたような少女が闇に囚われる原因は、いかにも金城脚本らしい。そこには絶望しかないが、主人公たちがもたらした小さな光が救いだった。昨年放送された「BORDER 衝動〜検視官・比嘉ミカ〜」を思い出した。ここには清原果耶がまったく正反対の役で出演しており、見て衝撃的だった。冒頭の少女の姿は「ツインピークス」を思い出したが、クレジットによると渡辺淳一「阿寒に果つ」とのこと。雪と赤いコートだったら「僕だけがいない街」もそうだった。この漫画は映画化もされたが、圧倒的にアニメーションが素晴らしかった。ここでも母親の虐待が描かれていた。「透明なゆりかご」と「dele」を見て、この作品を思い出すのも妙なものである。やはり、少女の成長物語に魅せられてしまうのかもしれない。