ささやかな日常の記録

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ドラマ「透明なゆりかご」と「dele」の救い

最近ネットの記事を読んでいると目につく言葉がある。・・・でネット騒然。なんでもかんでもネットが騒然としている。他に言葉はないのかと思う。

それでも昨夜の「透明なゆりかご」には騒然とさせられた。ひとりだけで騒然とするのも変ではあるが、心がざわついたという意味である。このドラマでは、これまでにも感情を揺さぶられてきたが、これはもうMAXだ。言葉もない。

少女が犠牲となった性犯罪。それも産科が舞台になってしまうのだ。ドラマではあっても、そこで描かれるのはリアルな感情だ。言葉を失った少女の感情を想像するだけで苦しくなってしまう。

今回はアオイ(清原果耶)が少女に失った言葉を取り戻させる物語でもあった。そんな難しい役を清原がこれまで以上に繊細に演じて涙腺を刺激して大変だった。その少女を演じた根本真陽も凄かった。

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産まれたばかりの赤ちゃんをじっと見つめる視線に胸が締め付けられた。ドラマ「夕凪の街 桜の国2018」では小芝風花の幼少期を演じて印象的だった。

そんな少女を相手にするとアオイが母親のようにも見えてくる。少女の心を開いたアオイには、もう空想する必要さえなかった。2人で見た虹色の雲に希望を見出すことができたのだ。

それでも、つらい現実を受け止めることは大人でも大変だ。そんなアオイの気持ちを母親が受け止める。まさに「せつないもの」のリレーである。「望めば救いの手は差し伸べられる」そう信じることにしたアオイの言葉が救いだった。

切ないと言えば、ドラマ「dele」が最終回。それぞれが抱えていた切ない思いに決着が付けられた。「透明なゆりかご」では義父がそうだったように、ここでも父親との関係が重要だった。

残されたデータという記録は消せても、記憶は消せないということ。それぞれが亡き人に思いを寄せて新たな道を模索していく。新薬を巡る政界との癒着というストーリーはありきたりなれど、その決着のつけ方は新鮮だった。個人的には妹への思いをもっと描いて欲しかったが時間的には仕方がない。それでも前回のようなモヤモヤ感はなく、ハッピーエンドだったのが救いだった。

毎回、岩崎太整の音楽に魅せられた。最近では彼の「ひそねとまそたん」のサントラをよく聴いているだけに、このドラマのサントラ発売が決まったことが嬉しい。17日にはBSPで放送された「ワンダーウォール」がNHK総合でも放送される。ラストで演奏される彼の音楽も必聴である。