ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「アンナチュラル」第5話と「相棒16」

あの「ひよっこ」の三男(泉澤祐希)にまたも泣かされてしまった。

一途な地方の青年が亡くなった彼女の死因を必死に求める気持ちを思う。永遠に答えの出ない問い。

そんな強い思いから遺体を盗み出して解剖をしてもらおうとする。しかし、それが違法であれば解剖医が死体損壊罪に問われてしまう。

666番をめぐるドタバタは面白かったが、もう「オーメン」は通用しないのか。

それにしても死因を調べるための科学的な手法の数々は驚くばかり。プランクトンの数を調べるのに市販の漂白剤を使ったりするのはありなのか。その辺りは無知なれども、日常生活がベースにあるから共感できる。

ただし報復については難しいところだ。相手に対する思いが強いほど共感はするが、それは許されることではない。倫理と感情の間で、それぞれが揺れ動く。

その登場人物一人一人に共感できる脚本が素晴らしい。井浦新の執念にある背景も少しずつ分かってきた。彼女が絵本作家で、その絵本を読む石原の佇まいが印象的だ。そんな二人の共感と対立から、ますます目が離せない。

f:id:hze01112:20190302134526j:plain

これまで「科捜研の女」は見たことがないので、とにかく勉強になる。そして何よりドラマとして面白い。一話ごとの緩急のメリハリが見事だ。これは視聴率が良いのも納得だ。

 

それに対して「anone」はストーリーがどんどん拡散していく。一話の中での緩急がないので、焦点がぼやけてしまう。しかし、そのモヤモヤした先の見えない不安定さが魅力でもある。これでは視聴者を選んでしまうので、視聴率が悪いのは仕方がない。そんな相反する魅力的なドラマを楽しめているのが嬉しい。

 

その二つのドラマの他に見ているのが「相棒16」。2週に渡って300回記念として大御所、輿水脚本作品が放映された。しかし、これが見事につまらなかった。過去キャラがまるで活かされていなかった。ただ、歳をとってしまったという感慨しかなかった。これはもう「相棒」というドラマそのものにも言えるのかもしれない。

そんなことを考えながら先日の放送を見たら、これが意外にも面白かった。脚本はこれもベテランの太田愛。愛嬌のあるホームレスを間に挟む事によってドラマが多角的に変化する。家族の相続問題に端を発した事件はありきたりで、醜い。そんなドロドロにユーモアがもたらされる。右京の大好きな幽霊話まで加味されて、ドラマが弾む。

ホームレス役の勝矢も良かった。Season 10の「つきすぎている女」にも出ていたが、これも好きな回だ。事故物件とホームレス、そして人としての正しい生き方。まだまだ「相棒」も捨てたものではないと思った次第。