ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「アンナチュラル」最終話

ちょっと茫然自失になっている。ドラマを見ての感想を書こうとしても、言葉が出てこない。旅の終わりのもの悲しさに包まれている。

「アンナチュラる」という、ちょっとした不自然さからスタートしたドラマは「Their journy will continue」と、ちょっとした違和感を残して終わった。彼らの旅は続く。不条理な死はなくならない。

Journey と言えば、すぐに80年代のヒット曲の数々を思い出す。例えばDon't Stop Believin'「信じることを止めるな、その気持ちを持ち続けろ」というメッセージ。


Journey - Don't Stop Believin' (Live in Houston)

この最終話を見終わって、まず思ったのがこうした力強いメッセージだった。アメリカの田舎の少女が夢を求めて生きていく姿が夕希子に重なった。アメリカから来日した父親から語られた夕希子の想いが切ない。一匹になったピンクのカバは、いつか二匹に戻って一緒に旅をする。そうした夢があるからこそ、つらい日々にも耐えられたのだ。「Lemon」が中堂の心情に寄り添ったように、この歌はまるで在りし日の夕希子の気持ちそのものだったようにも聴こえてしまう。

やはり前回の回想は少々過剰だったような気がする。今回のようにさりげなく、想像の余地を残してくれる演出が素晴らしい。それにしても最終話で父親を登場させての急展開は見事だった。ここでまた東海林に「ウォーキング・デッド」を語らせてしまうとは・・・

ちなみにドラマの最後に登場したJourny はJourneyではなかった。ジャーニー・ファンの自分の違和感はeがなかったこと。eが足りないって、言い足りないってことかと、もう話題になっていた。もしかしてeがないって、えーがない、映画化はないってことかも。きっと、まだ気が付いていない小ネタがあるに違いない。また最初から見直したい衝動にかられてしまった。

とにかく書きたいことは多々あれども、それに言葉が追いつかない。それでも、これだけは書いておきたい。それは仕事に対するプライドについて。

 第三話で登場した検事(吹越満)がミコトに対して「あなたのその小さなプライドをほんの少し曲げていただけるだけで法で裁くことができる」と裁判員に誤解を与える死因について削除しろと言う。

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それでもミコトはプライドを捨てることはできなかった。そうは思っていても気持ちは揺れる。「不条理な死に負けるってことは私を道連れに死のうとした母に負けることだから」と炬燵の中で悶えるミコトの姿が印象的だ。

「UDIをつぶしても嘘の鑑定書は出せない」というミコトの気持ちを忖度した所長が「職員一人に背負わせて知らぬ存ぜぬはできません」と言う。忖度とはかくありたいと思わせた所長の行動が凛々しい。

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 中堂の予測不能な行動に対してもミコトは毅然と言い放つ。

不条理な事件に巻き込まれた人間が、

自分の人生を手放して、

同じように不条理なことをしてしまったら負けなんじゃないんですか。 

 

それぞれのセリフが相手の気持ちを揺さぶっていく。ドラマを離れて現実の問題に思いを馳せる。亡くなった近畿財務局の男性のことを考えて、思考が止まってしまう。優れたドラマは人間の生き様について問いかけてくる。これからも、こうした答えのない問いを考え続けなければならない。自分たちの旅も続いていく。そんなことを考えさせてくれたドラマに出会えたことを素直に喜びたいと思う。