ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「キャッスルロック」と映画「幻の湖」

朝から雪が降り続いた。最高気温は2度未満で真冬の寒さだった。こんな時は暖かい映画が見たくなる。だけどドラマ「キャッスルロック」を見続けてしまった。

スティーブン・キング原作、J・J・エイブラムス製作のドラマだ。これが身も凍るような内容だから、たまらない。零下30度で凍った湖面からドラマは始まる。メイン州のキャッスルロックという架空の町が舞台だ。ここには、あのショーシャンク刑務所がある。「スタンド・バイ・ミー」で少年の死体が見つかった所でもある。その刑務所に謎の空間があって、そこに男が監禁されていた。まるで「LOST」のようでもある。とにかく謎を散りばめたストーリーに魅せられてしまう。全10話で3話まで見たが、続きが楽しみである。

大河「いだてん」はついにマラソン当日。いわばクライマックスなのに、まるで盛り上がらなかった。こちらは真夏の炎天下が舞台で、暑さに苦しめられる。ところが熊本など周りの応援を描いても、肝心の主人公の心情が伝わってこない。大会の再現は見事だけど、無駄にお金を費やしているみたいだ。なんだか方向性がズレてる気がしないでもない。ある種の驕りを感じてしまう。

走るといえば映画「幻の湖」をようやく見ることができた。1982年、東宝の50周年記念として製作された大作だ。あの橋本忍が脚本と監督を務めた。そのタイトルと噂は聞いていたが、なかなか見る機会がなかった。3時間近い長尺だったが、一気に見てしまった。正直、面白かった。

主演の南條玲子の走る姿が美しかった。その傍らには白い犬が寄り添っている。走る女と犬の絆。その犬が理不尽に殺され、その復讐に駆られる女の情念が凄い。追う女と追われる男。そこに過去の因縁がオーバーラップしていく。戦国時代のお市の方とその侍女を関根恵子星野知子が演じる。ここの描写も実に丁寧で印象的だ。

最後は宇宙空間まで描かれるが、さほど唐突な感じはなかった。「2001年」の骨が、ここでは笛になっている。戦国から現代、そして未来へと続くイメージが見事だ。確かに主人公の背景が描かれずに分かり難いところはある。でも、これはストーリーよりもイメージを楽しむ映画だと思う。

音楽は芥川也寸志だが、ほぼクラシックが流れる。あの「たんぽぽ」と重なるところが多い。走りながら季節が移ろうシーンは「砂の器」が思い出された。

当時よりも今だったら、また違った評価をされていたかもしれない。橋本の思いが強すぎて、周りが制御できなかったのかもしれない。見る人を選ぶという点でも「いだてん」に重なってしまった。

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