ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

「おしん」の香野百合子

自殺未遂で助かった佐和。その悲痛な思いをおしんに語る。女郎だった過去のせいで家庭内に不和が絶えない。自分だけなら耐えられるが、周りに迷惑をかけるのが辛いという。演じる香野百合子の独白が胸を締め付ける。

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今だったら木村多江あたりが演じそうな役ではあるが、実に儚い美しさがある。個人的には「獅子の時代」で演じた菅原文太の兄嫁役が忘れられない。戊辰戦争後の苦難の果てに北海道の余市でリンゴを栽培する姿は印象的だった。ここにも北海道の開拓者の逞しい姿があった。

その開拓者精神を受け継いだヒロインが活躍するはずだった「なつぞら」。今朝はその出産が描かれた。それを牛の出産と重ねて描いて、思わず失笑してしまった。その子を取り上げたのはおしんを演じた田中裕子。ベテランの田中をしても、なんの感動もなかった。あの「透明なゆりかご」の出産シーンがいかに出色かということが、光の使い方だけでも分かる。その娘の名前がおしんの「雄」に対して「優」というのも狙いすぎだ。今朝の回では雄をおぶって佐和と上京計画を立てていた時に第2子の妊娠が発覚した。とにかく怒涛の展開に息つく暇もない。

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ちなみに、個人的に優と言えば早見優である。上京して初めての学園祭で彼女のステージを見たのは忘れられない思い出である。

それから、香野百合子のデビュー作はあのウルトラセブンの「盗まれたウルトラ・アイ」である。幼い頃は怪獣の登場しないこの回は退屈だっただろうが、見直してからは大好きな回になってしまった。そこに登場するマヤという少女にすっかり魅せられてしまった。そのマヤを演じたのが17歳の香野百合子だった。


ウルトラセブン 盗まれたウルトラ・アイより 冬木透作品集