週末のドラマが面白い。それなのに感想が書けないままである。とにかく見るだけで手一杯で、書く気になれなかったというところもある。要は見過ぎということで、自分の容量を超えてしまっているということだ。見ては忘れるの繰り返し。それでも楽しければ十分であり、ちょっとした満足感が残れば良い。そんなドラマの数々について、ちょっと書いてみよう。
まずはBSプレミアムで放送中の時代劇「蛍草」。清原果耶が武家の娘を演じ、見事な殺陣を見せる。高校サッカーでのダンスを見ても分かるが身体能力は高く、アクションも様になっている。時代劇における所作にも問題がない。凛とした佇まいは実に魅力的だ。なによりも声が良い。台詞がすっと耳に馴染むのは聞いてて心地が良い。最近は目だけではなく、耳の老化も進行中なのか台詞が聞きづらくて困ってしまう。そんな中で発声が良いというのは見た目以上にポイントが高い。この夏は清原が出演したドラマを多く見ることができた。今は「なつぞら」に再登場があるかどうかが楽しみである。そんな清原演じる菜々の仇を演じているのが北村有起哉。父親は「おしん」で義父を演じた北村和夫だ。「おしん」には北村総一朗も出演しているからややこしい。
そんな北村有起哉が出演しているドラマが「セミオトコ」。こちらでも得体の知れない男を演じているが、良い人らしい雰囲気を醸し出しているところが印象的だ。主演俳優に興味はないが、脇役たちが実に魅力的だ。あの今田美桜すら可愛かったりする。こうした群像劇を書かせたら岡田惠和は抜群に上手い。かつての山田ドラマを思い出さずにはいられない。岡田はWOWOWでも「そして、生きる」を書いているが、こちらはちょっと狙いすぎている感じがして微妙だったりするが面白いので問題なし。どちらもどう着地させるか楽しみである。
アパートにおける群像劇と言えば「凪のお暇」もそうだ。ストーリーよりも、その生き方が魅力的だ。当初は黒木華のヘアスタイルに違和感があって見る気になれなかったが、先週見たら面白かった。黒木が自転車で海まで走るシーンは良かった。なによりも当ブログで書いてきた気になる女優が多く出演している。市川実日子、藤本泉、水谷果穂、唐田えりか、といったところ。唐田は「デジタル・タトゥ」も良かったが全く感想を書けなかった。今回の優秀な営業社員役も演技はともかく魅力的ではある。藤本、水谷、唐田と、これからの活躍が楽しみである。
でも、そんな若手女優3人が束になっても、多部未華子演じる経理部OLには敵わない。やはり最後は「これは経費で落ちません！」にとどめを刺す。「べっぴんさん」を書いた渡辺千穂の脚本に不安はあったが原作に助けられて実に痛快で面白いドラマになった。会社員だったら誰にも思い当たるエピソードの数々に懐かしささえ覚えてしまう。今回の同じ部署内での葛藤など、実際に同じようなことがあっただけに身につまされた。一度でも経理的な事務職を経験しているとその面白さは倍増する。そんなリアルな経験も書いてみたい気もするが、今はやめておく。とにかく、キャストが皆はまり役で、伊藤沙莉など実に魅力的だ。なによりも多部のコメディエンヌぶりは最高だ。「ウサギを追うな」と葛藤する姿に自らを重ねつつも、ドラマとして楽しんでいる。そんな金曜の夜である。
