ささやかな日常の記録

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大草原の小さな家「ジョーンズおじさんの鐘」

土曜の朝の楽しみは「大草原の小さな家」を見ること。とにかく単純に面白くて、見終わったら温かい気持ちに包まれる。週末の朝に見るのに、これ以上ふさわしいドラマもないだろう。

今回の「ジョーンズおじさんの鐘」も、まさにそんな1本だ。教会の鐘を作るにあたって、大人たちが二分されてしまう。オルソン夫人が全額寄付するとの提案に賛同する意見と反対する意見。ただ、その提案には名前を刻んだプレートを付けるという条件付きだ。それを許容できるかどうかで議論は平行線を辿り決別する。なんとも愚かしいドタバタ騒動であるが、今でも同じようなことが繰り返されているから笑えない。

それを見て聾唖の職人であるジョーンズは胸を痛める。またしても心優しき障碍者の登場に、あの「オルガの靴」の感動が思い出された。子供達に色々なプレゼントをしているジョーンズは、親の争いに子供まで巻き込まれている様子を見て、自ら鐘を作ることを決意する。子供達もブリキを集めることなどで協力する。その描写には台詞はなく音楽と映像だけで見せていく。その音楽にはさりげなく鐘の音が混じり、気持ちが自然と昂ぶっていくあたり、見事な演出である。デビッド・ローズの音楽が素晴らしいのは当然として、今回の演出を担当したレオ・ペンの演出力も大きい。

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レオ・ペンと言えば、ショーン・ペンクリス・ペンの父親としても知られているが、個人的には「刑事コロンボ」におけるベスト・エピソードである「別れのワイン」を演出したことで忘れられない。

そして完成した鐘を鳴らすのは当然、ジョーンズである。その鐘の音を聞いて住民が教会に集まり、わだかまりは氷解していく。その場での子供達の満足した表情が印象的だ。そこでもジョーンズは偉ぶらず、過剰に賞賛されることもない。それでも見た者に彼の行動の素晴らしさは伝わる。そこに込められた宗教的なメッセージについては分からない。ただ、ジョーンズが合掌するかのようなポーズを取るのが印象的だった。

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障碍者と鐘ということではディズニーの「ノートルダムの鐘」も忘れられない。あの映画でもカジモドはヒロインのジプシー娘とは結ばれず、当時はなんだかモヤモヤした気持ちが残ったものである。障碍者イコール聖なる者という図式はどうかと思うが、欠けているからこそ豊かでもあるという考え方もある。こうした作品を見てマイナスをプラスとして考えられたら十分なのかもしれない。今回はあのネリーでさえ母親に逆らって賢い行動を取った。その表情は実に可愛らしかった(ちなみに後ろの少年がショーン・ペンである)。

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その意味で「大草原の小さな家」は実に教育的である。「母さんの教室」では臨時教員になったキャロラインが学ぶことの意味を教えてくれたし、先週の「あらいぐま見つけた」では野生動物との関わり方まで学ぶことができた。大人になった今だから分かることも多いが、いくつになっても変わらないことを教えてくれるドラマでもある。