ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

表情から見る「おしん」と「なつぞら」(第144話)

人の心の内は分からない。表情から何を考えているか察するのも難しい。だからこそ、ドラマを見て、心の機微を知ろうとするのかもしれない。

今朝の「おしん」では死産した娘の代わりに授乳する姿が描かれた。その無表情からは何を考えているか分からない。

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その絶望の果てに、淡々と日常を過ごしながら、ある決意を募らせていく。そこに至る過程を視聴者は嫌というほど見せつけられているので、納得せざるを得ない。絶望から我を忘れて立ち直っていく姿を田中裕子が迫真の演技で見せてくれる。もう、圧巻というしかない。

そこに失踪した佐和からの手紙が届く。妊娠したことを知っていた彼女は、おしんに元気な赤ちゃんが産まれたことを信じて、それを手紙に書いた。それを読む姿が切ない。

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兄嫁の恒子は、ようやく姑が改心したと思って、これからは嫁同士、仲良くやっていこうと励ます。長男の嫁という立場を守りつつも、陰ながらおしんを支えようとする姿は演じた観世葉子の佇まいと共に印象的だった。これも、彼女の表情からは、とても窺い知れないことである。

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それに対して「なつぞら」のなつの表情には、そうした陰影がない。あまりに分かりやすい感情の表出に、視聴者の感情は揺さぶられることはない。だから、ドラマとして面白くない。それでも、なつの子供時代と、妹の千遥のエピソードには心が動いた。そんな二人を演じた粟野咲莉と清原果耶が母と娘になって久々に登場した。もう、それだけで感情が揺さぶられてしまうから不思議だ。ラストに見せた清原の表情がすべてだ。怒ったような表情で睨みつける視線からは、何を考えているか分からない。そこを想像するのが自分にとってドラマの楽しみである。

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おしん」はいよいよ佐賀を脱出しそうだし、「なつぞら」は千遥の現在が描かれそうだし、もう来週が楽しみでならない。