ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

「わが青春のとき」と倉本ドラマ

なかなかテレビを見る時間を減らすことができない。今のドラマを見るだけでも大変なのに、つい昔のドラマも見てしまう。これでは時間がいくらあっても足りなくなるのは当然だ。

今は新旧の倉本聰脚本のドラマを楽しんでいる。新は当然「やすらぎの刻」で、主演は石坂浩二で御年78歳になるが、まだまだ若い。そんな石坂が28歳で主演したドラマが「わが青春のとき」だ。タイトル通りに青春の理想と現実に揺れる青年を真っすぐに演じており、実に印象的だ。前年には大河ドラマ天と地と」で上杉謙信を演じており、その延長線上にあるような気もする。

その相手役が朝ドラ「おはなはん」で知られる樫山文枝。親の決めた結婚に逆らって、石坂演じる医師を思い続ける姿は実に魅力的だ。

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風土病を研究する男を追って、群馬の山奥まで出かけていく。吊り橋の上での再会シーンは実にスリリングだった。そこでお互いの気持ちが揺れ動く。まさに吊り橋効果とも言える見事なサスペンス。今のドラマではなかなか見られない心理描写である。

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放送されたのは1970年。当時の街の様子が新鮮である。喫茶店の内装さえも、なんだか未来的で美しい。

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出演している俳優も味わい深い。子供時代にテレビでよく見た顔が懐かしい。塚本信夫、小栗一也、岩本多代左時枝等々。倉本ドラマではお馴染みの大滝秀治も早くも登場。さらには「コロンボ」の声優として知られる小池朝雄がやさぐれた町医者として出てきて強烈な印象を残す。

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そして極め付けとして笠智衆が石坂の恩師役として登場する。3時間の睡眠時間で研究に没頭しつつも、テレビで奥村チヨを見ると歌を口ずさみ、石坂が300円の安ホテルに宿泊していると知ると、自分も泊まりたいと言い出す。そんな魅力的なキャラクターが楽しい。障子越しに二人を撮ったシーンも印象的だった。

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このように昔のドラマはストーリーだけではなくて、その時代背景も含めて楽しめるから止められない。そして音楽が個人的には「長靴をはいた猫」が忘れられない宇野誠一郎というのだから堪らない。映画の公開は前年で、小池朝雄も魔王ルシファ役を演じている。

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 個人的に見た倉本ドラマとしては最も古い作品になる。同年には「君は海を見たか」があるが、こちらは萩原健一が主演したリメイク版を見た。

これまでに見た倉本ドラマは以下の通り。

1970年 「わが青春のとき」

1971年 「おりょう

1973年 「ガラス細工の家」

1975年 「前略おふくろ様」

1977年 「あにき」

1981年 「北の国から

1982年 「君は海を見たか」

1983年 「北の国から'83冬」

1984年 「昨日、悲別で」

      「北の国から'84夏」

1986年 「ライスカレー

1987年 「北の国から'87初恋」

1989年 「北の国から'89帰郷」

1990年 「川は泣いている」

1992年 「北の国から'92巣立ち」

1995年 「北の国から'95秘密」

1998年 「北の国から'98時代」

1999年 「玩具の神様」

2002年 「北の国から 2002遺言

2003年 「川」

2005年 「優しい時間」

2007年 「拝啓、父上様

2008年 「風のガーデン

2010年 「歸國

2014年 「おやじの背中」

2017年 「やすらぎの郷

2019年 「やすらぎの刻~道」

 

1981年の「北の国から」から、ほぼリアルタイムで見ている。その中でも特に印象的なのが「昨日、悲別で」と「ライスカレー」である。 

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