ささやかな日常の記録

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「大草原の少女ソラ」と「母をたずねて三千里」

今朝の「なつぞら」では劇中アニメ「大草原の少女ソラ」の最終回が描かれた。成長して獣医になったレイがソラと再会する。

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これを見て思い出したのが、個人的に大好きな「母をたずねて三千里」である。

母をたずねて三千里 音楽集

母をたずねて三千里 音楽集

 

なつのモデルとなった奥山玲子が、作画監督だった夫の小田部羊一を補佐している。とにかくキャラクターが多彩でありながら、それぞれが魅力的という圧倒的なクオリティを支えたのが二人の技術だったことは間違いない。ドラマではそんな片鱗さえ描かれなかったのが残念だった。

そんな魅力的なキャラクターの中でもペッピーノ一座のフィオリーナは忘れられない。その声を演じた信沢三恵子は、「未来少年コナン」のラナも演じていることもあり、その演技は見事だった。暗くて自信のなかった少女がマルコに出会って変わっていく姿が、きめ細やかに描かれた。

そしてマルコは医者になることを決意、またアルゼンチンに戻ってくることを約束してフィオリーナと別れる。その約束が果たされたのかどうかは視聴者それぞれの想像に託された。それ以来、その再会シーンを夢見てきたが、今朝の放送でちょっと夢がかなったような気がした。

その後の打ち上げパーティの描写は正直どうでも良い。多分ネットではこうした描写こそ話題になって盛り上がるのだろうが、なんだか気恥ずかしくて見ていられなかった。それでも実際に奥山が担当した作品を想像して、楽しむことができたのだから十分だろう。

朝陽が開拓者を励ましたというシーンも出てきたが、これも実際の作品が思い出された。「三千里」では主題歌からしてそうだ。まさに朝陽が希望になっている。

さぁ、出発だ

今、陽が昇る

希望の光、両手につかみ

ポンチョに夜明けの風はらませて・・・

 歌詞もすらすらと出てくる。作曲は「おしん」も担当している坂田晃一。エンディングにも朝陽が出てくる。

ドラマでは高畑勲が監督した「太陽の王子 ホルスの大冒険」のような映画が登場するが、個人的には次の「長靴をはいた猫」が忘れられない。奥山はどちらも原画を担当。この映画でもクライマックスは朝陽だ。


長靴をはいた猫(予告篇)

翌年には「空飛ぶゆうれい船」が公開され、こちらもリアルタイムで見ている。この作品も奥山は原画担当で、小田部が作画監督である。音楽は小野崎孝輔で、小椋佳の「さらば青春」などの編曲が印象的だった。


『空飛ぶゆうれい船』 予告編集

テレビでは1973年に奥山が作画監督を務めた「マジンガーZ」と「ミクロイドS」を夢中になって見ていた。永井豪手塚治虫の漫画も大好きだった。それだけにドラマではスルーされたのが残念だった。あまりヒロインを有能にしないで、あくまでも補佐的な立場にすれば、アニメの黎明期をもっと丁寧に描けたような気がするが、時すでに遅し。それでも最終回は楽しみだ。