昔から好きだったクラシックの名曲の一つがラベルの「ボレロ」だった。それは今でも変わらない。この繰り返すリズムとメロディーに陶酔してしまう。
この名曲をクライマックスで使用した映画が「愛と哀しみのボレロ」である。この映画も大好きで、映画館では2日連続で観たほどである。それ以来、3時間の大作でありながら、何度見たか分からない。監督はクロード・ルルーシュで、音楽担当が最近ともに亡くなったフランシス・レイとミシェル・ルグラン。この映画でのボレロは途中で男女のスキャットも入るし、モーリス・ベジャールの振り付けでジョルジュ・ドンが踊るという、まさに豪華絢爛で圧巻だった。
その他にも「ボレロ」が使われた映画は多々あるだろうが、ブレイク・エドワーズ監督の「10(テン)」では催淫効果を高める曲として使われて、笑わせてくれるのだから堪らない。音楽担当はヘンリー・マンシー二。確かに官能的な曲ではある。
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日本映画でも黒澤明の「羅生門」で、早坂文雄が秀逸なアレンジで、見事な雰囲気を作り出していたのも忘れられない。
- アーティスト: サントラ,東京混声合唱団,シネ・ハーモニック・オーケストラ,シネ・フィルハーモニック・オーケストラ
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エロティックと言えば、大好きな監督であるブライアン・デ・パルマの「ファム・ファタール」でも坂本龍一がアレンジしていたが、これは個人的にはイマイチだった。
ドラマでも大河「獅子の時代」で宇崎竜童がテーマ曲にアレンジして、大河らしからぬロック・テイストに仕上げており、見るたびに熱くなっていたものである。当時、珍しく主題歌とともにシングル盤も発売されたので、繰り返し聴いたものである。
そんな訳で、「ボレロ」もボレロ風の音楽も大好きということである。それがミニマル・ミュージックとどう違うのかとか、音楽的な形式みたいなことは分からないが、「静かに始まって、繰り返しながら盛り上がっていき、途中で転調があったら最高 !」みたいな感じである。これに当てはまる曲など数え切れないほどあると思うが、大好きなヴァンゲリスの曲などは見事に当てはまる。
たとえば初期であれば「アルファ」と「見知らぬ男」なんかがそうである。高校時代にそれぞれが収録されたレコードを購入して、飽きもせず繰り返し聴いたものである。まさに麻薬的な魅力があった訳だが、その要因の一つがボレロ風の展開にあったことは間違いない。
「アルファ」はアルバム「天国と地獄」の次に発売された「反射率0.39」に収録。あの「COSMOS」にも使用されて、まさにその繰り返しから宇宙的な広がりを感じさせる曲である。
次に「見知らぬ男」であるが、これはアルバム「螺旋」に収録されたが、「アルファ」と同じような曲調でありながら、より人間臭い感じがするのはなぜだろう。個人的にはヴァンゲリスのベストかもしれない。ヴァンゲリス自身もお気に入りには違いなく、ベストアルバムやミルバのアルバム「女心」などでトップに収録されている。最新作の「ノクターン」ではピアノで演奏されており、さらに情感豊かになって心に響いた。
これは繰り返すことによって自らの内面に螺旋状に降りていく感じである。クライマックスの転調もボレロのように鮮やかである。