この回はDVDに吹替はなし。初めて全編、字幕での視聴となった。アメリカでの放送日は1976年3月で建国200年の年だった。それだけにアメリカ万歳の内容になっているが、なぜ日本での放送がなかったのだろうか。
ドラマでは建国100年のお祝いにローラとメアリーが国旗を作る姿が描かれた。道路も多く作られて景気も良くなるとの期待感がある一方で、税金が上がりチャールズは怒りを覚える。これは今のオリンピックを前にした日本の姿と重なってしまう。税の理不尽さに、あのオルソン夫人でさえ不満をもらす。
ロシア移民のユーリー(セオドア・バイケル好演)は買ったばかりの土地を没収されてしまう。それでも国に対する不満は言わず、逆に自由の精神が素晴らしいと絶賛する。この自由の精神が今の日本の憲法にも引き継がれているかと思うと感慨深い。原題はCentennialで百年祭のことだが、DVDの邦題は「自由よ永遠に」である。
まさか、憲法改正を是とする自民党に忖度したなんてことはないだろうが、今だったら分からない。しかし、当時のNHKにはまだ気概があったから、そうではないだろう。当時の冷戦状況に配慮したとの話もあるが、真相は分からない。
ロシア移民がアメリカを称賛することへの違和感を覚えなくもなかったが、ドラマとしては悪くなかった。確かに政治色は強いが、ロシア移民の矜持がしっかりと描かれているし、ロシア風の劇伴も印象に残った。1979年にはロシア移民を主人公にした映画「ディア・ハンター」が問題なく公開されている。それでも翌年のモスクワオリンピックはボイコットになった。
この回のDVDの画質はあまり良好ではなかったので、4Kでの放送が楽しみだ。オルソン夫人のセリフを含めて吹替がどうなっているかにも興味がある。放送は2月5日の予定である。
ちなみに二百年祭だとbicentennialになる。これはイーグルスの名盤「ホテル・カリフォルニア」と共によく覚えている。中学生に歌詞の内容は理解できなかったが、陰影のあるギターサウンドにすっかり魅せられてしまったものである。壁に貼ったポスターはすっかり色あせてしまったが、そのサウンドは今でも鮮明である。
そしてドラマのラストシーンを見て、大好きな映画「ミッドナイト・クロス」を思い出した。この映画でのクライマックスはフィラデルフィアでの自由の日、その歴史的な背景がドラマと見事に重なってしまった。映画を見た人は納得できると思うが、見てない人には意味不明だろう。女性には不快な映画かも知れないが、ラストがドラマと共通するとは思いもしなかった。