ささやかな日常の記録

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大草原の小さな家「春の別れ」(3-6&7)

母親が亡くなり、一人残された父親(ランスフォード)を迎えに里帰りをするチャールズ。その列車の中で少年の日々を思い出す。もう、この回想シーンだけで胸が熱くなる。映画「クレヨンしんちゃん オトナ帝国の逆襲」を例に出すまでもなく、こうしたノスタルジーに弱い人は多い。当然、自分もその一人である。

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しかし、思い出の中の父親と、老いた現実の父親とでは、まるで違う。そこに母親が介在していればまだしも、成長した息子と頑固な父親が上手くいくはずがない。これは今でも多くの家庭で繰り返されている問題だろう。

これまで面倒を見てきた兄は愛想を尽かしていたので、チャールズは死のうとした父親を無理に連れ帰る。その夜はエドワーズ一家も交えてのパーティ。踊るローラを見て、亡くなった妻のことを思い出す。ローラはダンスの上手かった亡き妻の名前と同じ。こうして名前と共に思い出も引き継がれていく。

そんなチャールズの父親を演じたアーサー・ヒルは「アンドロメダ・・・」「チャンプ」「リトル・ロマンス」など多くの映画に出演、舞台ではトニー賞も受賞している。

後編では、おじいさんとなったランスフォードと孫娘ローラとの交流が描かれる。その中で愛馬バニーのその後も描かれるが、そこでの約束が二人の関係を変えていく。愛するが故に出来ない約束をしてしまい、逆恨みされてしまう切なさときたら、身に覚えのある人も多いだろう。

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家出しようとするローラとチャールズが重なるのも、血のつながりを感じてしまう。ちなみに少年時代のチャールズを演じたのが後のアルバート役になるマシュー・ラボートである。その顔は覚えていたが、ここで登場していたとは思わなかった。

f:id:hze01112:20200119174949j:plain前編で描かれたキャリーと七面鳥との愉快なエピソードが、後編で見事に回収されたり、相変わらずマイケル・ランドンの作劇の巧みさに魅せられた。父親との関係性を通してチャールズの新たな面を描いていたのも見事であった。

原題はJourney In The Spring 、春の旅といった意味になる。邦題の「別れ」だとここで終わりのような感じになるが、まだ旅は終わっていないのである。その道程を考えざるを得ない余韻の残るラストだった。