最終回前の3本は学校内で疎外された子供の物語。スケールの大きな物語も良いが、こうした小さな物語が心に染みる。
まずは「黒人少年ソロモン」だが、不当に差別されてきた黒人の現実を描く。奴隷解放令が出た後でも、すぐに黒人の生活が改善された訳ではない。そんな当時の現実を黒人少年の目を通して、分かりやすく描いていく。学校で子供達がソロモンを見る目が印象的だった。
インガルス一家に可愛がられて勉学に励んだソロモンだが、例え医者になっても先住民の保護区でしか働けない現実を知り打ちのめされる。子役としても成功したトッド・ブリッジスが演じたソロモンの健気さが忘れられない。
原題はThe Wisdom of Solomon、ソロモンの知恵という意味だが、出典は旧約聖書のようだ。
次の「悪夢のオルゴール」ではスウェーデンから来た言葉が不自由な少女アンナが登場。ネリーの仲良しクラブに入りたいのに、仲間外れにされてしまう。オルゴールを持ち帰ってしまったローラの罪の意識を逆手にとって利用するネリーがズル賢い。そのためローラもネリーに逆えず、仲良しだったアンナに冷たい態度をとってしまう。
そんな可哀想なアンナを演じたケイティ・カーツマンは、後に映画でアルプスの少女ハイジを演じている。演出のマイケル・ランドンは下からアップでその悲しみの表情を撮って、その魅力をしっかりと描いていた。
「級長選挙」では気弱で動物好きな少年エルマーが登場する。友達からいじめられて、無理に級長候補にされてしまう。同時にネリーとメアリーも候補となるが、当時はまだ女性の参政権が一般的ではなかったことが語られ、男と女の対決という様相にもなってくる。そんな中でのネリーの買収工作が可笑しかった。そこで迎えた選挙当日、エルマーの心からの言葉が胸を打つ。メアリーの涙が印象的だった。
そしてシーズン3の最終回は前後編の「黄金の国」で、一攫千金の仕事を求めて600キロもの旅をする一家の姿が描かれた。これはシーズン2の「砂金の夢」をスケールアップさせたストーリーではあるが、個人的にはローラの日常を描いた「砂金の夢」の方が好みである。
ゴールドラッシュに浮かれる町の人々の姿から、欲望の恐ろしさが伝わってくるが、エピソードが多すぎて散漫な印象になってしまったような気がする。