◉「やみの中の人質」(16)はまたもメアリーが人質になってしまう受難のストーリー。原題はDarkness Is My Friend(闇は私の友達)なので、映画「暗くなるまで待って」のように暗闇の中でメアリーが活躍すると思っていたが、残念ながらオードリーと同じという訳にはいかなかったようである。
そんな嵐の夜、ローラとメアリーが小さな頃の思い出を話すシーンが印象的だった。個人的にお気に入りの「愛の贈り物」のエピソードが語られたのは嬉しかった。
◉「ローラ先生」(17)はローラが手話の先生になるストーリー。原題はSilent Promises、沈黙の約束。教える相手が同世代の異性では、どうしても誤解が生じてしまう。一生懸命になればなるほど思いは強まってしまうというのが切ない。メアリーとアダムのような関係にはなかなかなれないのが現実である。アルバートがギャングに犬小屋を作ってやるエピソードでも分かるが、善意の押し付けにもなりかねないのが難しいところ。そんな障害をどう乗り越えていくのかが見どころである。
それにしても手話で伝えられる「愛している」は印象的である。1995年に放映されたドラマ「愛していると言ってくれ」を思い出してしまった。
DREAMS COME TRUE - LOVE LOVE LOVE (from THE DREAM QUEST TOUR 2017 Live Ver.)
◉「 悲しみをこえて」(18、19)は前後編で邦題通り、ある悲劇を乗り越える物語。原題はMay We Make Them Proudで「誇りに思うように」といった意味になる。身近な人の死をどう受け止めるかは人それぞれではあるが、すぐに現実を受け入れることができない人もいる。そして中には精神を病んでしまう人もいる。精神科という言葉も出てきたが、この頃が起源になる。有名なフロイトはアルマンゾと同じ頃に生まれている。
オルゴールのメロディとメアリーのハミングが切なく響いた。この曲は1868年にブラームスによって作曲された子守唄で、今でもポピュラーである。
◉「ふたりのワイルダー」(20)は原題もWilder and Wilderで、アルマンゾの弟が登場する。その弟の無茶な行動がチャールズとアルマンゾの距離を縮めることになる。
それにしてもアメリカの男はアームレスリング(腕相撲)が好きである。映画「オーバー・ザ・トップ」を思い出した。ジョルジオ・モロダーが担当したサントラもお気に入りで、1987年にはオリコンの洋楽アルバムチャートで5週連続1位になっている。
Robin Zander - In This Country (Over The Top soundtrack)
Kenny Loggins - Meet Me Half Way
◉「オルソンさんの家出」(21)は1981年9月に日本で放送されたが、何故かよく覚えていた。昔からこうしたストーリーは大好きだった。あのオルソンが家出(といっても移動販売)をして恋に落ちる。日本のドラマでも同じようなストーリーを見たような気もするが、杉浦直樹あたりが演じたらはまりそうである。それこそ草薙幸二郎でもぴったりだったかもしれない。
宿屋の女主人を演じたスザンヌ・ロジャーズは今でも画像が販売されており、どのような需要があるのか謎ではあるが、なかなか魅力的だった。二人でアイルランドのジグで踊るシーンは楽しかった。
そのアイリッシュ・ダンスといえば山田太一作のドラマ「ありふれた奇跡」が忘れられない。エンヤによる主題歌も良かった。
Dreams Are More Precious ENYA 2008 歌詞解説付
THE ROUTE SIXX CBのヴォーカルとベースがドラマに出演!
◉「夢見る16歳」(22)は教師を夢見るローラが16歳を前にして教壇に立つストーリー。「先生になったメアリー」と比べると、あまりにも恵まれたスタートである。原題はSweet Sixteenで、女の子の16歳の誕生日を盛大にお祝いする特別の行事のことらしい。要は日本の成人式みたいなもので、ローラも大人の仲間入りということである。ローラを子ども扱いしていたアルマンゾも、異性として気になり始める。1年前の「夢を見る人」のダンスパーティとはすっかり様相が変わってしまった。
16才といったらベタだけど、この歌が忘れられない。
◉「 愛してる、愛してない」(23、24)は前後編でシーズン6の最終回。原題はHe Loves Me, He Loves Me Not でローラの揺れる気持ちのこと。そんなローラとネリーの恋の顛末が描かれて、幸せな気持ちで見終わることができた。ローラとアルマンゾのすれ違いは盲学校のエピソードと共に感動的だったが、ネリーの恋はひたすら面白かった。
1986年にエイズで亡くなったスティーブ・トレイシーが演じたユダヤ人のコンサルタントが良い味を出していたが、実生活での二人のエピソードも感動的である。まさに様々な差別と障害を描いてきたドラマに重なってしまった。
身長差ということでは山田太一作の「君を見上げて」を思い出した。
卵をかけられて恋に落ちるというのも、「オルソン家の出来事」を思い出して笑ってしまった。
そんな訳で、あっという間にシーズン6を見終わってしまった。悲劇的なこともあったが、ローラの恋が成就する過程は楽しかった。それでもチャールズと同じで一抹の淋しさを覚えずにはいられなかった。やはり個人的にはシーズン1と2のエピソードが好きである。
BS4Kでは今夜からシーズン3がスタートする。2019年4月3日に始まった4Kでの放送は、ほぼ1年で2シーズンが終わった。このペースだと完結までにはあと3年以上かかるから、まだまだ楽しみは続く。果たしてBSプレミアムでシーズン2以降の放送はあるだろうか。