ささやかな日常の記録

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【備考】いつわりの友情

シーズン2のヴィクター・フレンチ演出回は、本当に素晴らしい。「釣り友だち」「おばけ屋敷」そして今回の「いつわりの友情」と、すべてローラの魅力が満載である。

今回は恋する乙女のローラが可愛すぎる。だから小さなことは気にしない。男勝りのローラも恋することで変わってしまうのである。

その相手は科学が大好きなジェイソン。今だったら快活な少女が理系のオタク少年に恋するイメージだろうか。なんだか、そんなアニメを見たような気もするが、思い出せない。ドラマだったら「ガリレオ」がそうかもしれない。

ローラとジェイソンが雨の中、雷の実験をするシーンがある。雷が鳴る中、鍵を付けた凧を揚げる🪁。手元には感電しないように乾いた赤いリボンをつける。その鍵に触れたローラが感電して、地面に倒れるが、電気を取り出すことができたと大喜び。ここには危なっかしくも、科学を追求する純粋な気持ちがある。個人的には雷が大嫌いなので、試そうとは思わないが、こうしたシーンはあの映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思い出すまでもなく、大好きである。

そんなローラは、すっかり気持ちが乙女モードに入ってしまっているので、ネリーにも簡単に騙されてしまう。ジェイソンのことを聞かれたら、ついつい話してしまうのはよく分かる。ネリーのお嬢様ルームで雰囲気に酔ってしまったのかもしれない。きれいなベッドに横たわり、前には人形がある。どうしても快活なローラの印象が強いので忘れがちだが、こうした乙女チックなところもあるのである。「あらいぐま見つけた」では人形が壊れて悲しむし、シーズン3の「悪夢のオルゴール」では、ネリーのオルゴールに手を出したりしてしまう。

そんなネリーの悪巧みのせいで、ローラは教室で針の筵に立たされてしまう。今でも繰り返されている陰湿ないじめである。今朝のワイドショーでもテラスハウスを巡る陰湿なSNSのことが取り上げられていたが、本当に胸が痛む。

傷ついたローラにチャールズが、人を傷つけるのは発明品ではなく、それを使う人だと言うセリフが印象的だった。SNSやネットは素晴らしい発明ではあるが、使い方によっては凶器にもなってしまう。改めて、じっくりと考えたい問題である。

いつの時代でも、人のプライバシーに関することはデリケートなことである。それが陰湿な手段で公開されてしまうことは許されない。だからこそチャールズは子供のことではあるが、ネリーの父親であるオルソンに苦情を言う。そしてオルソンも毅然とネリーに罰を加えようとする。ベルトを持ち出すシーンは面白いが、単純に笑ってもいられない。今では体罰はいけないことではあるが、正しいことが伝わらない時にはどうすれば良いのだろう。そんなことも考えてしまった。

最近でも検察のお偉い方が、賭け麻雀をしたのに懲戒処分にせずに、訓告で済ましたということもあった。この国では悪いことをしても上級国民は罰せられないという、悪しきメッセージが伝わっていないかと心配でならない。

教室で恥をかいたローラは教室を飛び出し、実験をした原っぱに倒れ込む。そこにはあの鍵と赤いリボンが落ちていて、それをそっと握りしめる。そこにメアリーがやって来て、励まそうとする。こうした姉としてのメアリーの振る舞いもよく描かれている。それは逆にきれいな姉へのコンプレックスにもなってしまう訳だが、その絶妙な距離感がこのドラマをより魅力的にしているのは間違いない。シーズン3以降、そのバランスが少しずつ崩れていくことになるが、それが成長するということでもある。

脚本のハロルド・スワントンはシーズン1では「おめでとうエミーおばあさん」を書いている。今回のラストもそうだが、場面展開が鮮やかである。シーズン3では「祈りの森」と「風の中の初恋」を書いており、ローラとメアリーの魅力を引き出している。

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ネリーの甘い誘いとキャンディ

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人形に魅せられるローラ

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今でもよく見る女子トーク

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ネリーを信じるローラをたしなめるメアリー

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蓄音機に録音されていたのは

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嘲笑にじっと耐えるローラ

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鍵をじっと見つめる

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駆けつけるメアリー

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赤いリボンとチャールズの言葉

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ジェイソンの気持ちは

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懐かしい黒板の悪戯

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書いたのは誰?