ささやかな日常の記録

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【備考】町の誇り

緊急事態宣言は全面的に解除されたが、夏の甲子園は中止になってしまった。ニュースで球児の涙を見ると胸が痛む。

真夏の炎天下で過酷な試合をすることの是非は置いといて、高校野球が今でもこんなに人気がある理由の一つに地元意識があることは間違いない。いわば、甲子園に集った球児は町の誇りなのである。

過去に一度だけ、出身高校が甲子園に出場したことがある。県大会で優勝したこと自体が奇跡みたいなものだったので、初戦で敗退したものの町は歓喜に溢れた。当時は東京で働いていたが、同僚にも自慢したものである。地元を捨てて上京したはずなのに、なんだか妙な気持ちだった。

そんな複雑な気持ちが味わえるのがシーズン2の「町の誇り」である。メアリーが町の代表として数学コンテストに出場する。当初は経済的な事情で出場は諦めたものの、ローラの機転で町からの寄付を得られることになる。

最初、出場が決まって無邪気に喜ぶメアリー。ところがチャールズからお金がないと知らされるとすぐに事情を察して諦める。決して親を責めることはしないのである。チャールズも責められないことで、逆に胸を痛めるが、良い子に育ってくれたことを喜ぶ。

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今、多くの家庭でも経済的なことが大きな問題になっている。親の事情を察して勉学を諦める子供もいるに違いない。そんな人々を救うのが政治の役割なのに、迅速に対応できていないのがもどかしい。当地にはマスクはおろか、定額給付金の申請書すら未だ届いていない。

ドラマではローラから事情を聞いたビードル先生がすぐに委員会を開き、旅費等を工面することを決定する。そして、すぐにハンソンと共にその決定を知らせに訪れる。チャールズも素直にその申し出を受け入れる。そんな小さな町の迅速な対応が胸を打つ。

そんなきっかけを作ったローラも、当初は出場できなくなったことで少し嬉しかったと、正直にメアリーに告白して謝る。それに対してメアリーも父さんに可愛がられているローラが羨ましいと正直に告白する。そんな小さな焼きもちの吐露が印象的だった。

そこからの展開はドラマの定石通り。夢の大舞台でプレッシャーに負けそうになりながらも全力を出し切って戦い抜く。結果は映画「ロッキー」と同じで、大歓声に包まれる姿を見ると素直に胸が熱くなる。その傍らには優れたコーチでもあるキャロラインがいた。優しく励ますキャロラインがいたからこそ、メアリーも全力を出し切ることができた訳である。

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このようにメアリーの戦いを描いたストーリーではあるが、一方で留守宅を守るローラの戦いを描いているところが見事である。ローラの姉へのコンプレックスを克服するための涙ぐましい姿が印象的だ。キャロラインを模倣して家事をするが、ことごとく失敗する。それでも少女が母になるための訓練でもある飯事(ママゴト)のようで楽しかった。こちらではチャールズがコーチとしてローラに優しく寄り添う。失敗しても怒らず、見守ることで自信をつけさせていく姿は見習いたいものである。

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