シーズン1の「母さんの休暇」と「母さんの教室」を見た。原題もMa's HolidayとSchool Momだから、母さんことキャロラインが主役ということでよいだろう。
専業主婦の母さんは家の中心として存在している。つまり、家は母さんにとっては神聖なる楽園でもある。そこに居る限りにおいては、とりあえず安定しているといえる。では、その家を離れたらどうなるのだろうか。それは、楽園を出たイヴの物語と重なってしまう。
「母さんの休暇」ではチャールズと共にマンケートに出かける。チャールズは2度目のハネムーンにするつもりだったのに、キャロラインは子供たちのことが心配で落ち着かない。要は家を離れてしまうと心は不安定になってしまうのである。
そんなマンケートでの二人だけの休暇のシーンが楽しい。レストランでの食事も、帽子を買う時も、その値段が気になってしまうキャロライン。慎ましい生活に慣れてしまって、気楽に贅沢ができないのである。それに対してチャールズはキャロラインに満足してもらうためにはお金を惜しまない。
最後の劇場のシーンが印象的だった。家のことを忘れてもらいたくて連れてきたのに、演目は捨てられた娘たちの物語。当然、子供たちのことを思い出してしまい、早々に帰路に就くことになってしまう。
一方、家ではエドワーズによる子守のドタバタが繰り広げられる。キャリーを寝かしつけるために絵本を読み聞かせようとするが巧くいかない。これはシーズン2の「父と子」への伏線にもなっている。
とにかくエドワーズの奮闘する姿が最高に可笑しかった。それでもガラガラヘビの料理は少々やりすぎだったかもしれない。でも、楽園から出るには蛇は欠かせない。
「母さんの教室」でも蛇がきっかけでキャロラインは家を出ることになる。馬車が蛇のために暴走してしまい、乗っていたビードル先生がケガをしてしまう。そこで代理の先生をキャロラインが引き受けることになる。それもオルソン夫人の一言にカッとなってという、いつものパターン。
学校では文字が読めない生徒に頭を悩ませることになる。そこでキャロラインが考えた指導方法が楽しかった。ここには教えることと、学ぶことの喜びが見事に描かれている。学ぶことの喜びを知ってしまったら、もう止めることはできないというキャロラインの言葉が印象的だった。
家を出ることで、悩みも増えるが成長することもできる。大きな自信と満足感を得て学校を後にするキャロラインは美しかった。チャールズも小さな家の中心にはキャロラインの存在が必要不可欠と改めて思ったに違いない。