日本では未公開だった1973年アメリカ公開の映画「地獄の逃避行」を見た。
テレンス・マリック監督の映画は「天国の日々」を映画館で観て、その圧倒的な映像美とモリコーネの音楽に魅せられて、忘れられない。
この映画も犯罪映画でありながら、映像は美しく、マーティン・シーンとシシー・スペイセクが魅力的だった。
マーティン・シーンと言えば、「地獄の黙示録」が有名であるが、この映画の邦題もそれにちなんで付けられたとのこと。個人的には「カサンドラ・クロス」のヒモ役が印象的だった。
そして「キャリー」で忘れられない存在になったシシー・スペイセクの存在感たるや、まさにファム・ファタール。決して美人ではないが、不思議な魅力がある。ソバカスだらけの顔は「大草原の小さな家」のローラのようでもある。
その「大草原の小さな家」のシーズン1の初回「すばらしい収穫」でチャールズに敵対する役で印象的だったラモン・ビエリがマーティンの同僚役で出ていて、すぐに分かった。
車での逃避行シーンは映画「セブン」を思い出させたが、タランティーノにも影響を与えたとのこと。
タランティーノと言えば、サントラに既成曲を使って新たな魅力を付加する名人であるが、この映画の映像はどんな音楽にも合いそうである。
映画の中で、二人がダンスをするシーンがある。
Badlands (1973) - Love is Strange
ここで流れるのが Mickey & Sylvia のLove is Strangeである。1956年のヒット曲であるが、ギターの響きが心地よい。
Love is Strange- Mickey & Sylvia - The real thing
なお、映画の原題はBadlandsでブルース・スプリングスティーンの「ネブラスカ」は、この映画の影響を受けているとのこと。
映画ではジェームス・テイラーの歌も使われているが、ルー・リードの歌にも合ってしまうところが凄い。
Lou Reed - Perfect Day (BADLANDS 1973)
この歌はアルバム「 トランスフォーマー」に収録されているが、映画「トレインスポッティング」でも使用された。その映画に主演したユアン・マクレガーの実質的なデビュー作であるテレビドラマ「カラーに口紅」にもLove is Strangeは使われている。
Mickey & Sylvia - Love Is Strange (Ewan McGregor, LipstickOY
タランティーノの最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」もようやく見ることができた。
1969年のハリウッドを舞台にしたストーリーだが、当時のテレビドラマの撮影現場の様子が興味深かった。当時、マイケル・ランドンは西部を舞台にしたテレビドラマ「ボナンザ」に出演中で、その舞台裏をリアルに想像することができて楽しかった。