昨夜、エンニオ・モリコーネの訃報を知った。享年91歳、病気ではなく、ケガが原因というのが残念でならない。
そして今日、BS4Kでの『大草原の小さな家』は、「吹雪の中」だった。
この時の記事にも書いたが吹雪の中でのシチュエーションがタランティーノ監督の「ヘイトフル・エイト」を思い出させるものだった。この映画でモリコーネは待望のアカデミー作曲賞を受賞している。
モリコーネと言えば数多くのマカロニ・ウェスタンの音楽を担当しているが、個人的なお気に入りは異色作である「殺しが静かにやって来る」だった。
「吹雪の中」の原題はSurvivalである。そんなサバイバルをテーマにした映画を多く担当したのもモリコーネだった。生き残るための死闘が描かれたものをサバイバルと定義するならば、マカロニ、アクション、ホラー、SFなどのジャンルは全て当てはまる。そんな映画の中からお気に入りを10曲選んでみた。順番は公開順である。
1969年のフランス映画。当然、公開時には観ておらず、初めてテレビで見て、そのテーマ曲に痺れた。アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジャン・ギャバン共演のフィルム・ノアールではあるが、当時としては派手な宝石強奪シーンがあり迫力満点。何よりもドロンの女性がらみのサバイバルにハラハラさせられたものである。サントラ盤CDを見つけた時は歓喜したものである。
The Sicilian Clan - 1969 -Theme : Ennio Morricone .
ベルトルッチ監督の 1976年イタリア公開の映画だが、日本で公開されたのは1982年になってからだった。上映時間が5時間を超えるが、映画館で観て圧倒させられた。1900年に生まれた二人の男の生涯を描いた人間ドラマであるが、その人生はまさにサバイバルの連続だった。ロバート・デ・ニーロとジェラール・ドパルデューの演技が圧巻だった。モリコーネのテーマ曲も重厚に響いた。
日本では1977年7月に公開された「エクソシスト」の続編。まさに悪魔に憑りつかれた少女のサバイバル・ストーリーであるが、当時はなんだかよく分からなかった。それでもモリコーネの音楽は異様な迫力と美しさがあって魅せられたものである。自分にとっては映画館での初めてのモリコーネ体験だった。
EXORCIST II : THE HERETIC (Ennio Morricone - 1977) : "Rite of Magic"
日本では 1977年12月に公開された海洋パニック映画。リチャード・ハリスが妻子を失ったオルカと対決する、まさにサバイバル・ストーリーではあるが、その美しい旋律に魅せられたものである。
1982年公開のジョン・カーペンター監督のSFだが、ほとんどホラー。南極基地での物体Xとの対決はまさにサバイバルだった。モリコーネの音楽はジョン・カーペンター(作曲)に寄せており、シンセのリズムの繰り返しがサスペンスを盛り立てていた。
John Carpenter - The Thing: Main Theme - Desolation (Austin 06.23.16) HD
1984年10月にオープンした有楽町マリオンの日本劇場のこけら落とし作品だった。禁酒法時代のギャングのサバイバル・ストーリーではあるが、モリコーネの音楽は美しく、特にアマポーラが流れるシーンは忘れられない。
Once Upon A Time In America - Noodles peeping scene (1080p)
これまた禁酒法時代を描いた1987年10月公開のブライアン・デ・パルマ監督作品。デ・ニーロはアル・カポネを演じているが、主役はケビン・コスナー演じるエリオット・ネス。いわば正義と悪のサバイバルが描かれる訳で、モリコーネの音楽はよりヒロイックに響いた。
Ennio Morricone - The Untouchables (1987) Opening Titles
1988年7月公開のロマン・ポランスキー監督によるサスペンス。パリを舞台に知らずに陰謀に巻き込まれた男のサバイバルが繰り広げられる。ポランスキー監督作品にはお気に入りのテーマ曲が多いが、これもその一つ。
Frantic thème by Ennio Morricone
1990年2月公開だが、その前年の東京国際映画祭で観た。この時、監督のブライアン・デ・パルマが来日するとの噂があって、ちょっとドキドキした記憶がある。ベトナム反戦映画の一本で、戦争犯罪の告発を描いており衝撃的だった。マイケル・J・フォックスが味方のショーン・ペンに狙われるという不条理なサバイバルが描かれた。モリコーネの音楽はまさに鎮魂の響きで、2004年6月の来日公演でも感動的だった。
Ennio Morricone, "Casualties of War", live in Warsaw, Poland
2000年5月公開のSF映画。デ・パルマとモリコーネのコラボ3作目にして最後になってしまった。火星でのサバイバルが描かれたが、題材的にデ・パルマの手腕を活かすことができなかった。モリコーネの音楽はスケールの大きなヒーリング・ミュージックみたいで映画館で聴くには最高だった。
"Mission to Mars" Soundtrack - Where by Ennio Morricone
当然、すべてサントラ盤は購入済みである。とにかく膨大な作品があるだけに、これまでに購入したアーティストの中ではもっとも多い。それだけに1日に1枚ずつ紹介しても1年間は余裕である。また機会があれば書いてみたい。