BS4Kでシーズン4の「若い夢」を見た。
「若い夢」とは若いネリーの結婚への夢ということだろうが、原題のHere Come the Brides「ここに花嫁が来る」の方が分かり易い。こことは養豚場で、ビードル先生とネリーが農家の嫁になるというストーリー。日本でもドラマや映画でよく描かれるテーマである。
ビードル先生には弁護士の恋人がいたが、色々な事情で破局したのだろう。そこに元カレとは正反対の無学ではあるが女性には優しく、妻と死別した野生的で逞しい男性が現れたということ。名前もアダムで、きっと運命的なことを感じたに違いない。
この時代は15歳くらいで結婚するのは普通だったから、ビードル先生くらいの年齢になってしまうと結婚そのものが難しかったに違いない。だからプロポーズを素直に受けることができたのかもしれない。豚を楽しそうに追いかけるビードル先生の姿が印象的だった。
ビードルと言うとミス・ビードル号が1931年10月4日に青森県三沢市の海岸から飛び立ち、太平洋無着陸横断飛行に成功したことからビードル海岸と名付けられたと翌朝放送された「こころ旅」で火野正平が語っていた。
そんなビードル先生が農夫と結婚することは、教師だったキャロラインがチャールズと結婚したことと同じことだから特別なことではない。そもそも金持ちの弁護士と結婚することが必ずしも幸せとは言えない。
現代的な価値観で制作された「アンという名の少女」では良き妻になることを是とする牧師の言葉に納得できないアンとマリラの姿が描かれるが、ここでは深く掘り下げられない。教師という職業を選んで結婚しないという女性はこの後、アルマンゾの姉に引き継がれて描かれていくことになる。
そしてネリーは裸足の素朴な青年に一目惚れをしてしまい、母親に反対されても、気持ちが昂ってしまい、結婚に同意することになる。こうしたネリーの気質はシーズン6で花開くことになる。
このように唐突ではあっても、ビードル先生とネリーの幸せなエピソードとして、見ていて楽しかった。特に皆でピクニックに出かけるシーンは美しい映像と音楽だけで、幸せな時間を描いており、印象的だった。
音楽といえば全編にわたってモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第2楽章が口琴と共に流れ続けていたのも、幸せな気分に一役買っていたようである。
【2nd Mov.】Eine kleine Nachtmusik アイネ・クライネ・ナハトムジーク 2楽章 (バイオリン、チェロ、ビオラ)弦楽四重奏
残念ながらビードル先生の出番はここをピークにして今シーズンで退場となる。演じたシャーロット・スチュアートは1977年にデヴィッド・リンチ監督の「イレイザーヘッド」にメアリー役として出演しているが、あのドラマ「ツイン・ピークス」にもボビーの母親役で出ている。ローラ・ダーンに似た雰囲気があるので、リンチの好きなタイプだったのかもしれない。「イレイザーヘッド」は女性にはお勧めできないが、個人的には悪夢のように忘れられない映画である。
「ツイン・ピークス」はローラ・パーマーのキャラクターを含めて、暗黒面の「大草原の小さな家」のようなドラマだった。シーズン4の「幻のエレン」などは、その世界観に近い。
なお、原題のHere Come the Bridesから思い出すのはやはりビートルズのHere Comes The Sunである。