「人は何で憎しみ合うの?」というローラの問いはシリーズを通して描かれてきた問題提起の一つである。
それに対してチャールズは「それは人には分からない。分かるのは神様だけだ」と答える。分からないからこそ信仰がある。
この先住民に対する差別問題はシーズン1の「吹雪の中」とシーズン3の「誇りと勇気」でも描かれているが、今でも繰り返されている問題である。
自分は原作を読んでいないので分からないが、作中には当時の差別意識が描かれており、それが原因でローラの名前が文学賞から外されたとのこと。
それで原作やドラマを貶める人もいるようだが、それはまた別の問題である。差別の問題を考える事例の一つとして考えれば良いことである。シーズン4では「人質になったメアリー」でも、より身近な差別問題を描いている。
そんな難しいことは抜きにして単純にドラマとして楽しんでも何かしら残るものがある。そんな小さなことを少しずつ蓄積していくことが大切なんだと思う。
ドラマではメアリーが最初、彼らのことを異教徒と蔑むが、チャールズが「信じる神は違うけど、同じ神の子だ」と正す。
シリーズを通して見ているとメアリーがこうした発言をすることには違和感を覚えるが、問題提起をする作劇上の都合だから仕方がない。事実、その後には差別的な発言をする男子にパンチを食らわせている。
それに対してローラは何の迷いもなく彼らの中に入っていこうとする。しかし、その思いとは裏腹に拒絶されてしまう。母親を殺された白人に心を開くことはできないのだ。それでもローラは諦めず、大切な人形をプレゼントするが、簡単には心を開いてはくれない。
では、その行為は無駄だったのかといえば違う。最後まで一言も話さなかった少女の手から人形が離されることはなかった。そんなシーンから何を思うかは人それぞれではあるが、印象的なシーンだった。
印象的なシーンといえば、今回も雄大なロケーションが満載だった。おそらく「気球が飛ぶ日」と同じ場所だとは思うが、青い空と雲が美しい。特に地平線に雲がかかっているのは印象的である。
そんな美しい場所で族長が死への祈りを捧げる。政府から与えられた居留地は決して住みやすい場所ではなく、そのため自由を求めて北へ向かう姿は切なかった。まだ、一族としての集団はあるが、それが減っていくことの哀しみ。映画「ラスト・オブ・モヒカン」を思い出してしまった。