秋ドラマはあまり見る気がしなくて、その代わりに映画を多く見ている。普段あまり見ない映画も、予備知識なしに見ることもある。「屍人荘の殺人」もそんな一本。
タイトルからミステリーだとは分かるが、今村昌弘の原作は未読。それでも2018年度の国内ミステリーランキング4冠達成は凄い。
それを蒔田光治が脚色。蒔田と言えば、ドラマ「TRICK」が有名だが、個人的には「ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜」「スリル!〜赤の章・黒の章〜」「ピュア! 〜一日アイドル署長の事件簿〜」とNHK制作の3作が好きだった。それぞれ、ヒロインの橋本愛、小松菜奈、浜辺美波が魅力的。
それだけに再び浜辺と組んだ「タリオ 復讐代行の2人」も楽しみだったが、初回を見て断念してしまった。
その2人の前作が「屍人荘の殺人」だったのは、見終わって知ったことである。演出はどちらも木村ひさしで、「タリオ」が合わなかったのは演出のせいだと分かった。「おカネの切れ目が恋のはじまり」はそれなりに面白かったが、別の要因が大きすぎた。具体的にどうとは言えないが「名刺ゲーム」のように感覚的にくどい感じが合わないのかもしれない。浜辺もあまり魅力的ではなかった。
主演は神木隆之介で、その相手役で中村倫也が明智役で登場するので、てっきりドラマ「美食探偵」のような内容かと思っていただけに、思いっきり外されてしまった。紫湛荘が屍人荘になっている点で勘の良い人は分かってしまうかもしれないが、ここの描写が決定的にダメだった。ここが良ければ映画としてはもっと面白くなったかもしれない。ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」がなかなか良い山田杏奈が印象的ではあるが、もう少し線の細い方が良かったかもしれない。
浜辺の役名は剣崎比留子。この名前から思い出すのは映画「ヒルコ」。
原作:諸星大二郎
監督・脚本:塚本晋也
主演:沢田研二
公開は1991年5月11日で、東劇で観ている。沢田の演技が印象的だっただけに、もう一度見たい作品の一つだ。