ささやかな日常の記録

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【備考】失われた光~新たなる希望

「エピソード4」と聞くと個人的には1978年公開の映画「スター・ウォーズ」を思い出す。副題は「新たなる希望」。

「シーズン4」と聞くと今はドラマ「大草原の小さな家」を思い出す。その最終回の邦題は「失われた光」であるが、(後編は)個人的に「新たなる希望」の方がしっくりくる。

スター・ウォーズ」では主人公のルークが悲劇的な出来事によって故郷を離れ、訓練を経て新たな道を歩み出す姿が描かれた。

「大草原」でもメアリーが絶望的な状況から故郷を離れ、訓練によって新たな使命に目覚める姿が感動的に描かれる。前編でオルデン牧師がチャールズに語ることが伏線になる。

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どちらも初めて見たのが中学3年の時だった。「スター・ウォーズ」は夏休みで、「大草原」は高校入学を前にした3月のことだった。15歳という多感な時期にリアルタイムで見ることができたのは幸いだった。今みたいに多くの情報に簡単にアクセスすることはできないから、ほぼ真っ新な状態で見ることができた。

史実ではメアリーに起こった悲劇は15歳の時で、演じたメリッサ・スー・アンダーソンも同じだった。このドラマの出演者では唯一エミー賞にノミネートされたとのことだが、このエピソードでの演技が評価されたに違いない。それくらい喜怒哀楽の感情の揺れを見事に演じていた。

この感情の揺れを個人的にも15歳の夏に経験した。運動部での夏合宿で無理をして体を壊してしまい運動を続けることができなくなってしまったのだ。それは自分にとっての初めての挫折だった。その時の絶望感は今でも忘れられない。それだけにメアリーの苦悩がリアルに感じられてしまう。

シーズン4ではそんなメアリーの感情を色々なエピソードを通して積み重ねてきており、最終回はその集大成でもある。「風の中の別れ」でジョンと破局して、今回は新たな恋の予感が冒頭で描かれた。ローラが好きになった男がメアリーに一目惚れしてしまうのは「ローラの初恋」の頃から変わらない。そんな姉妹関係は最近見た岩井俊二監督の「ラストレター」でも印象的に描かれていた。

ラストレター

ラストレター

  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: Prime Video
 

それだけに ローラの気持ちも良く分かる。そんなローラも偶然に姉の運命を知ってしまい途方に暮れて駆け出してしまう。

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当然、当事者であるメアリーの絶望は計り知れない。最初、チャールズの心配をしていたのに、真実を知らされて絶望していく表情が痛々しい。

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そして恐れていたことが現実になった時、人はまず無気力になる。すべてがどうでもよくなってしまい、何もする気になれなくなってしまう。メアリーもただ椅子にもたれかかるだけになってしまう。

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そして次に来るのがどうしようもない怒りの感情。ローラの願いで見舞いに来たセスに八つ当たりをしてしまう。

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そんな沈んだ気持ちのまま故郷を去ることになり、前編は幕を閉じる。

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当時、史実を知らずに見た視聴者にはまるで救いがなく気の滅入るバッドエンドだった。そんな欝々とした気持ちのまま一週間待たされたのは、今回のBS4Kでの放送も同じだった。ところが後編が放送された12月16日(水)は大雪でBSは映らなかった。関越自動車道では1,000台以上の車が立ち往生していた。車内に閉じ込められた方々は「何の試練か」と天を恨んだことであろう。

そして今週の月曜日に再放送があったが、止んで欲しいという願いも空しく雪が降り続いており、やはりBSは映らなかった。これでしばらくは見られないと諦めかけたところ、ようやく天に願いが届いたのか降るのが弱まり、後半を見ることができた。

このようにレコーダーのある現在でもBSは雨や雪に弱く、4Kはさらに脆弱で見られなくなるリスクは高い。これが40年前だと尚更で、テレビを見るのも一期一会だった。一度見逃せば、いつまた見られるのか分からない。だからいつも真剣に見ていたような気がする。

そんな思いで見た後編だったが、絶望の淵にあったメアリーは良き指導者に巡り合い、自分の現実を受け入れて変わっていく。相手に対する信頼はやがて恋の感情に変わる。アダムとお互いの顔を手で確認するシーンは感動的だ。

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そしてメアリーの顔に笑顔が戻ってくる。それと同時に新たな希望も見つかる。原題I'll Be Waving As You Drive Away のように、故郷に帰る時にお互いに手を振り合う姿が印象的だった。

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ウォルナット・グローブではかつての師であるシムズ(ビードル)先生と再会し、カメオのブローチを通じてその使命が継承されることになる。「スター・ウォーズ」でいえば、ラストでレイア姫から授かった勲章みたいなものである。そして、かつての学び舎でもあった教会の教壇で教えを説くことになる。

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まさに感動の大団円である。ウォルナット・グローブから離れるシーズン5からはよりフィクションの色合いが濃くなっていく。メアリーが小さな家から出ていくことで、自分の好きだったメアリーとローラを中心とした「大草原」の物語は終わることになる。

ラストのメアリーのストップモーションを見て思い出したのが「私のハートはストップモーション」である。


桑江知子  私のハートはストップモーション

この最終回が放送された(1979年3月24日の)5日後、あの「ザ・ベストテン」で歌われたこともあって忘れられない。その歌詞もメアリーの気持ちを想像させて印象的である。

冬のコート着ていた私の心

暖かな陽ざしに ブラインドおろして

恋するやさしさ ああ 忘れていた