ドラマでは色々な結婚式が描かれたが、個人的にもっとも印象的だったのがメアリーとアダムの結婚式だった。
桃の節句の昨夜、BS4Kでシーズン5の「メアリーの結婚」が放送された。桃色の(ような)ワンピースが似合っていた少女は、母親から贈られたブルーのドレスを着て、盲学校内でささやかな結婚式を挙げる。そこに至るまでの多くの出来事が名シーンと共に頭をよぎった。
今回もシーズン4の「失われた光」と同様、ラストはメアリーのストップ・モーション。メアリーが主役なら、ここがクライマックスといっても良い。ここで視聴を止めれば幸せな気分のままで余韻に浸れることだろう。
だが史実ではメアリーは生涯独身だっただけに、ここからはよりフィクションの色合いが濃くなっていき、次々と不幸が訪れることになる。
今回もメアリーの感情はジェットコースターのように激しくアップダウンすることになる。チャールズとキャロラインから子供の話を聞いて不安になるのはよく分かるが、ちょっと極端でもある。それでもその心の葛藤はリアルに伝わってくる。
そんなメアリーの悩みを吹き飛ばしたのが砂嵐。嵐の中で行方不明になった生徒を必死で探す中で気持ちが変わっていく。
その生徒こそがスーザン・グッドスピード。メアリーの生徒の中では目立っているが、今回は特に印象的だった。その吹替は「悪夢のオルゴール」と「母さんの初恋」に登場したケイティ・カーツマンを担当したのぐちゆり。
この回が日本で初放送されたのが1980年11月8日だった。この翌日には大河ドラマ「獅子の時代」の45回「絆」が放送されている。こちらでも菅原文太が演じた主人公と大原麗子が演じたヒロインが結婚するのかどうかでヤキモキしていた覚えがある。
そして11月19日に山口百恵と三浦友和が東京プリンスホテルで結婚した。デビュー当時から知っていたアイドルの結婚ということで、なんだか妙な気分だったことをよく覚えている。
前年にはさだまさしの「関白宣言」と「親父の一番長い日」がヒットしており、山口百恵に提供した「秋桜」なども聴いており、漠然と結婚について考え始めた時期でもあった。
現実でも虚構でも好きな人が結婚することで熱は冷めていく。メアリーの魅力も少しずつ失われていくことになる。