ささやかな日常の記録

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【備考】よみがえる光~ブラックジャック

まだ梅雨入りしていないのに、梅雨のような天気が続いている。寒暖差も大きくて体調も良くない。鈍い頭痛もあり、頭がぼんやりしているせいでブログも書けないままだ。

そんな日曜日、当地でも高齢者へのワクチン接種が進められており、付き添いで地元の小学校へ行ってきた。人の少ない地方での現実を垣間見て、緊急事態宣言が延長された都会のことを思う。とにかく病気は何にせよ、いつ何が起こるか分からない。

そんな中、BS4Kで放送されたシーズン5の「よみがえる光」を見た。そのタイトルを見れば、やはりシーズン4の「失われた光」を思い出す人が多いだろう。初放送時は、メアリーの失われた光がよみがえるストーリーだと思って期待したことを覚えている。邦題はそうしたミスリードを狙ったのかもしれないが、その期待は裏切られてしまう。

冒頭、授業中に目の異変を感じて狼狽えるメアリーと、そんな先生を心配するスーザンが描かれるが、メアリーの表情から良い予兆だということが分かる。

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イカー先生に診てもらって結果が出ないうちに皆はもう治ると信じ込んで大喜び。当時はドラマ同様テンションが上がったが、今ではこの描写だけで次の展開が予想できてしまう。「失われた光」以降のメアリー回はほぼ同じようなパターンである。喜びから絶望、そして新たな希望という流れ。まぁ、これはメアリーだけではなく人生そのものとも言えるが、見ていて切ない。

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そんなメアリーとチャールズが馬車に乗りながら昔の話をするが、そこで語られたスノードームのエピソードが印象的だ。そのスノードームのイメージがメアリーの願望と重なっていく。光を通して輝くスノードームと、メアリーが窓辺で日差しの温かさを感じる表情は同じ美しさである。そんな窓辺のメアリーが多く見られるのも嬉しい。

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しかし、喜びは長くは続かない。例によってメアリーの希望は打ち砕かれてしまう。アダムのために見えるようになりたかったと嘆くメアリーにチャールズは厳しい言葉を投げかける。自分の本心に気づくことによって救われることもある。

「失われた光」でメアリーに新たな希望を与えたアダムでさえ、自分の本心に打ちのめされてしまう。

ローラもメアリーのために新しい家を贈ろうと奮闘するが、その努力は無駄に終わってしまう。そんなローラに対してメアリーは自分の夢でもあったスノードームを手渡して慰める。そんな姉と妹のツーショットだけでなく、久々にメアリーのボンネットと麦わら帽子が見られたのも楽しかった。

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そんな訳でストーリーはともかく、映像的には色々と見所が多い回である。原題にもなっている元エドワーズの家が変わっていくところも面白かった。ピンクとパープルのペンキを混ぜているということだが、ローラの服にしろ色の違いがよく分からない。残念ながら自分もオルソン夫人と同じような感性かもしれない。

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それから個人的なことだが、この回を見て大好きな漫画を思い出してしまった。ドラマの初放送時に少年チャンピオンで連載中だった手塚治虫の「ブラックジャック」である。その第34話に「目撃者」という感動的なストーリーがある。

ある犯罪に巻き込まれて失明した女性が、犯人を目撃していたことが分かり警察がブラックジャックに手術を依頼する。それに対してブラックジャックは手術してもすぐに見えなくなると言い断るが、捜査費用の全額を出すというので引き受ける。手術は成功して彼女は犯人を特定して事件は解決するが、彼女は再び光を失ってしまう。

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ブラックジャックが言う「ぬかよろこび」と「二度も苦しみをあじわう」というのがメアリーの苦悩に重なってしまう。そして女性が美しい景色を見て言う「一生、忘れないわ」という気持ちもそうである。そして最後に「さよなら光さん」と言って涙ぐむシーンは忘れられない名シーンになっている。この回を読んだのがいつだったのかは忘れてしまったが、今ではドラマとセットで記憶に刻まれてしまった。