ささやかな日常の記録

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【備考】悲しみを越えて

今から40年前の1981年10月17日に大草原の「ローラの結婚」を見たことは以前にも書いたが、その前の8月29日にも「悲しみをこえて」(前編)を見たとの記述がある。夏休み最後の土曜日にどんな気持ちでこの回を見たのかハッキリとは覚えていないが、日記には「虚脱感」と書かれている。

そのシーズン6の「悲しみを越えて」が先日の土曜日、午後4時10分からBS4Kで放送された。いつもより50分早いことからも分かるように前編だけの放送ではなく、1時間40分の長編として放送されている。DVDで見た時も前編と後編に分けられていたが、Amazon Primeでの配信も同じである。

悲しみを越えて(前編)

悲しみを越えて(前編)

  • マイケル・ランドン
Amazon

これまでも「ローラの祈り」と「黄金の国」が前後編でなかったが、調べてみたら元々この3話はアメリカでは長編として放送されていたようである。どうりでDVDで見た時は区切り方が変だと思った訳だと納得することができた。

この「ローラの祈り」と「悲しみを越えて」はどちらもマイケル・ランドンの脚本・演出で物語の骨格は似ている。最愛の赤ちゃんが亡くなってしまい、そのことに罪の意識を覚えて家出をした子供を探してチャールズが相棒と捜索の旅に出るというもの。その子供がローラからアルバートに、相棒もエドワーズからガーベイに代わり、被害者でもあるガーベイはジョナサンのような役割も担うことになる。

しかし、前者は忘れられない名作になったのに、後者はそうはならなかったのは何故なんだろう。それは個人的にはローラの心情には共感できたが、アルバートには共感できなかったということに尽きる。ローラには純粋な自己犠牲の精神があったが、アルバートにはそれがなかった。

メアリーに贈ったオルゴールが結果的にメアリーを目覚めさせることになったが、それは自分の力で手に入れた物ではなくてチャールズに買ってもらった物である。それを喜び勇んで聞かせようとする姿は、バンディットに犬小屋を作ってやった行為と同じようなものに見えてしまった。

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幸せを彩ったオルゴール

そのメアリーが覚醒して「アダム坊や!」と叫ぶが、昔の吹替ではただ「坊や!」だけで原語ではmy Babyだったが、それぞれ微妙にニュアンスが異なっていたものの、その悲痛な叫びは耳に残った。

耳に残るといえばメアリーのハミングもそうで、これは新旧とも吹替ではなくメリッサ・スーの低い声が不気味に響いていた。その無表情のままベッドに横たわっている姿は、映画「エクソシスト」の少女リーガンのようでもあり、ホラー映画の好きなランドンらしいとも思ってしまった。

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恐ろしいといえばアリスが炎に包まれてしまうシーンもそうで、この悲劇はやりすぎだと思った。その悲劇の原因となった事に対する罰が描かれていないのも、スッキリしないところである。それだけにラストで名前が刻まれた看板の前で「誇れる学校にします」と言われても気持ちは晴れないままだった。

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