ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

岡村孝子と1991年の秋

気がついたら木々もすっかり紅葉しており、時の流れの早さに気持ちが追いつかないままである。

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このところ岡村孝子のCDを聴き続けているが、棚の奥から存在さえ忘れていていたアルバムが発掘された。1990年12月12日発売のセレクションアルバム「After Tone II」で、4枚目のアルバム「SOLEIL」(1988年7月1日)、5枚目のアルバム「Eau Du Ciel (天の水)」(1989年6月24日)、6枚目のアルバム「Kiss 〜 à côté de la mer 〜」(1990年6月27日)から計13曲が選ばれている。

After Tone II

After Tone II

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個人的には「SOLEIL」が初めて買った岡村のCDだったので、この3枚には特に思い入れがある。そのためオリジナルをよく聴いていたため、このCDは初回特典のブックレット目当てで購入したと思われる。その写真を久々に見たらまさに今の季節にぴったりで、ちょっと感傷的に当時の記憶がよみがえってきた。

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今から30年前の1991年は世の中も自分もバブルに浮かれていた。毎日のように映画やコンサートに出かけ、かなわぬ恋に恋焦がれていた。そのため毎日のように日記を書いていた。そんな日記に岡村の記述があった。

10月20日(日)

昨夜は宣伝会議の後の飲み会が延びに延び3時にお開きになり、その後1時間半歩いて帰宅したため昼前まで寝ていて、夜も8時前には就寝してしまった。なんだかとんでもない話で、俺がここまでやる必要があるのかと思った。

 

今日は10時より12月15日のジョージ・ハリスンのコンサート・チケットを買いに出かけた。これで今年の締めは決まった。亡きレノンを除けばこれで3人のビートルズのステージが見られることになる訳で、これはこれで凄いことだ。

 

26日の岡村孝子のコンサートは結局Aさんと行くことになった。それでもまだBさんのことが忘れられず、近々引越しするという彼女のことを思うと胸が苦しい。

その後、怒涛のような11月があって12月を迎えた。

12月1日(日)

それなりに充実した週末であった。家に留まる休日に比べて外出すると出費はかさむが気分転換にはなる。

 

金曜の夜、Aさんにお餅を焼いてもらって一緒に食べた。彼女はこれからゴルフの練習とのことで、いかにも彼女らしいと思った。Bさんも残っていたが同僚と話し込んでおり、まったくの疎遠だった。

 

帰りにシャンテ・シネ2にて映画「冬の旅」を観た。死に至る少女の自由への思いと孤独感が冬の南仏を舞台に描かれて心に重く響いた。岡村孝子のコンサートがあった日、ここでBさんが二人で「暗殺のオペラ」を観ていたという事実に心が疼いた。

 

12月2日(月)

昨夜Bさんは彼と会い首都高をドライブしたとのこと。そんなことを嬉々として話している彼女はまったく魅力がなく、なんだかすっかり幻滅してしまった。それ以上にそんな彼女を思い続け、その思いを彼に話し続けていた自分が愚かで恥ずかしい。

 

そんな訳でこの恋はもっとも残酷な形で終わってしまった。そんな過去を封印すべく7時半よりシネスイッチにて「ニューシネマ・パラダイス」の3時間完全版を観た。トトの恋愛に重きを置いた構成は別の映画を観ているような新鮮さがあり、ラストもまったく違う意味合いを持ったようですっかり感動してしまった。

 

トトは恋を封印されることにより立派な監督になることができた。果たして自分は今後いかに生きるべきか思案のしどころである。甘美なる映画体験もひとまずこの映画をもってピリオドを打ちたいと思う。

こんな社内恋愛の風景は今も昔も変わらず他愛のないものだ。それでも今ではすっかり美化された思い出になってしまった。そんな個人的なことを書いたのも、そこには岡村孝子の歌があり、映画があったということを思い出したからである。

「After Tone II」の収録曲は次の通り。

虹を追いかけて    
長い時間    
TODAY    
あなたと生きた季節    
クリスマスの夜    
心の草原    
終わらない夏    
見返してやるんだわ    
Believe    
オー・ド・シエル(天の水)    
Kiss    
adieu   
リフレイン    
天使たちの時

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「TODAY」の歌詞に次のような一節がある。

ありふれている今日を いとおしく生きたい

せつなすぎる時間を いつか越えて

当時も今も、刺さる言葉に変わりはない。

「大草原」ファンとしては、この歌も忘れられない。


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little by little   少しずつでもいいから前に進みたいものである。