ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

映画「3人のゴースト」と「大草原」

最強寒波の到来で、明日から大雪になり、積雪が1メートルを超えるとの予報が出ている。そのため、とてもクリスマスという気分ではないが、それでも今日は嵐の前の静けさで晴れ間もあり、そこそこ過ごしやすかった。

そんなイヴの夜、BSプレミアムで放送された映画「3人のゴースト」を見た。ディケンズの「クリスマス・キャロル」を原案としたファンタジーであるが、主演がビル・マーレイということでブラック・コメディ色の濃い内容になっている。

日本公開は1988年12月10日で、まさにクリスマスに見るのに最適な映画であるが公開時に映画館で観て以来、久々に見直すことができて色々と忘れていることもあって面白かった。


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この映画のことは大草原の「プラム・クリークのクリスマス」を見た時に思い出して記事にもしているが、この映画に「大草原」が言及されていたことは覚えていなかった。主人公のフランクはテレビ局の社長で、視聴率至上主義の冷血漢。その男の前に過去と現在と未来を見せるゴーストが現れるのだが、まず過去のゴーストが連れて行ったのがフランクの少年時代だった。

そこでテレビだけが楽しみだった淋しい現実を見せつけられる。それでもテレビ以外にも楽しいことがあったとおさげ髪の少女との思い出を語る。するとゴーストは「それは大草原のことだ」と忘れていた現実を思い出させるというもの。

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f:id:hze01112:20211224194653j:plainこれは時代的には合わないが、その気持ちはよく分かる。テレビの中の楽しい出来事が現実のこととして記憶されてしまうことはないとは言えない。現実でも三つ編みの少女を見るとドキッとしてしまうことがあるのはドラマの影響があったのかもしれない。

それから映画の中でスクルージの名前がエベネーザ(Ebenezer Scrooge)ということが語られるが、この名前にもピンときた。シーズン2の「釣り友だち」の原題がEbenezer Spragueで、まさに拝金主義の銀行家が改心するストーリーだった。ちなみに映画の原題は名前を動詞化したScroogedである。

そして未来のゴーストが連れて行った先で自分の最期の姿を見ることになる訳だが、そこで語られた聖書の1節は「ローラの祈り」の原題でもあるThe Lord is My Shepherdだったということである。

このようにクリスマスを舞台にした映画やドラマにはディケンズの「クリスマス・キャロル」(A Christmas Carol)の影響が少なからずあるというのがよく分かる。そういえばディケンズの名前はローラの父親と同じチャールズだった。小説は1843年に出版されているが、日本では「赤毛のアン」の村岡花子による翻訳もある。

映画の監督は今年の7月に亡くなったリチャード・ドナー。ちょうどヒット作「リーサル・ウェポン」シリーズの1作目と2作目の間に公開されているため忘れられがちではあるが、そのコメディ・センスもなかなかのものだった。

音楽のダニー・エルフマンはこの後で「バットマン」を担当して一躍ヒットメーカーになっていくが、個人的にお気に入りなのは「シザー・ハンズ」でこの時期に聴くと身に染みる。


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外では静かに雪が降り始めたが、ホワイト・クリスマスと喜ぶ気分になれないのが現実である。

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