ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

忘れられない記憶

3年ぶりの夏祭りと花火の後は、7年ぶりの歯科治療となった。東京では定期的に診てもらっていたが、実家に戻ってからは面倒で先延ばしにしてきた。久々の痛みに7年前の記憶がよみがえってきた。

あの夏も暑かったが、会社での残務処理と自宅での引越準備に追われていた。そんな中、7月17日から金曜ドラマ「表参道高校合唱部!」が始まった。そして、先日の17日には日曜劇場「オールドルーキー」の第3話が放送された。どちらもヒロインは芳根京子で、演出は石井康晴である。

この7年で芳根は少女から大人の女性へと成長し、今のドラマではショートカットでアクティブな(スポーツマネジメント会社の)社員を演じている。その姿はまるでかつての同僚の姿そのものである。

まだ自分が若手サラリーマンだった頃、同じ部署に気になる同僚がいた。地方の国立大学を卒業して入社した彼女は、優秀なんだけど一本気で今で言う空気が読めないところがあった。

そんな危なっかしい彼女を見ていられなくて何かと世話を焼いたりしたが、それは一方的なお節介でもあった。やがてそれは恋という感情に変わっていったが、社内では良き先輩として接し続けた。

そうして何もないまま月日は過ぎていったが、仕事のやり方で彼女は上司に反抗して、退職に追い込まれてしまった。そうして彼女は小さな代理店に転職した。それからしばらくして、彼女から一緒に仕事をしないかと誘いがあった。

それで彼女の会社に出向き、説明を聞いた。正直、気持ちが揺れたが決断はできなかった。仕事に魅力はあったが、収入が安定していなかった。結局、冒険を避けて、安定を取った。今でも、あの時の選択が正しかったのかは分からないが、あの選択があって今があるので後悔はしていない。

しかし、これが縁となって彼女と付き合うようになった。頭が良くて向上心のある彼女と付き合うのは大変だったが、得難い経験することができた。一緒に観た「魔女の宅急便」「友だちの恋人」「読書する女」「オテロ」など、思い出の映画も多い。

しかし、やがて優柔不断な自分に嫌気がさした彼女はだんだんと違う方向に向かい始めた。それが当時、社会問題にもなった自己啓発セミナーだった。ある日、彼女に呼び出されてセミナーに参加した。自分の殻を脱ぎ捨てて、新しい自分になろうという主張は正しいけれど胡散臭さがあった。その場の空気に耐えきれず、途中で会場を抜け出した。

それから彼女とは疎遠となっていき、やがて有名な政治家の秘書になったと聞いた。その時は素直に凄いと思ったが、今ではその裏事情も分かるようになってしまった。今またセンセーショナルに政治と宗教の闇が語られているが、自分にとっても忘れられない記憶を呼び覚ますことになってしまった。