ささやかな日常の記録

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【備考】最後の患者

シーズン9の12話「最後の患者」をBS4Kで見た。

最終シーズンであるシーズン9も後半に入り、いよいよ残りも少なくなってきた。邦題の最後という言葉から終わりが近づいているのを感じてしまう。原題はMarvin's Gardenだから「マービン先生の庭」でも良かった気もするが、マービンって誰ってことになってしまう。

DVDで見た時の感想でも書いたが、今さらベイカー先生以外の医者が居たというストーリーを受け入れるのは難しい。これまで何度もベイカー先生の孤軍奮闘する姿を見てきただけに尚更である。

それでも、そうしたシリーズの流れを忘れて、この回だけを見れば、それなりに感動的なストーリーである。目が見えなくなってきて医師免許を更新できなくなった老医師が、障碍が残って絶望している少女を立ち直らせる姿は印象的だった。その老医師を演じたのがラルフ・ベラミー。1904年生まれだから、この時で78歳くらいだろうか。

アメリカで初放送された1983年には映画「トワイライト・ゾーン」とマイケル・ジャクソンのMV「スリラー」も監督したジョン・ランディスの映画「大逆転」にも出演している。

そんなラルフ・ベラミーが演じただけに老医師の言葉には説得力があった。久々に登校した学校でナンシーに揶揄されて落ち込んでいたジェニーに次のように語りかける。

戦い続ける限り、この先も君は変わっていける

さっき怒っただろう、その勢いで立ち向かってみせろ

ナンシーやみんなを見返してやるんだ

この言葉によってジェニーは救われて、新たな一歩を踏み出すことになる。ローラのような過保護ではダメということでもある。ローラはアルマンゾのリハビリから何を学んだのだろうか。

この足を引き摺るジェニーの姿は「オルガの靴」を思い出させるし、吃音は「悪夢のオルゴール」のアナに重なり、傷ついた鳩を助けるのは「ローラの祈り」みたいだった。さらに、大きな病院に連れていくシーンは「愛と祈り」のメアリーを想起せざるを得なかった。

マイケル・ランドンの脚本は、そうした過去の名エピソードをうまく盛り込んでいるものの、やはり二番煎じの印象は拭えなかった。それでも、そうした過去の名エピソードと重ねながら楽しむことができるのも、長いシリーズを見ることの醍醐味でもある。

なお、邦題に付けられた「最後」という言葉は、この後の「最後の夏」でも繰り返されて、同じように感動的なストーリーになっている。さらに、実質的な最終回である特別編の邦題はDVDでは「最後の別れ」だった。

こうした最後(最期)に収斂していくドラマで思い出すのが倉本聰脚本の「風のガーデン」だった。このドラマでも緒形拳が演じた老医師が登場し、北海道の美しい庭が舞台になっていた。