ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

「銀河鉄道999」~松本零士の訃報

当たり前のことだけど、時間は有限。一日の中でも好きなことに集中できる時間は限られている。それだけに何を優先させるかは悩みの種である。

最近はバート・バカラック周辺のCDを聴き続けているので、なかなか映画やドラマを見る時間が取れないでいる。そうすると録画だけが溜まっていって、ハードディスクの残量だけが減っていくことになる。

その残り時間を見ていると人生も同じだなって思う。何もしないでも知らないうちに残り時間は少なくなっていく。機械の体になって永遠の時間を生きてみたいと思ってしまう。

そんな機械の体を手に入れるために大宇宙に旅立つ少年を描いた「銀河鉄道999」の作者である松本零士が今月の13日に85歳で亡くなった。

まだバカラックのCDさえ聴き終えていないのに、今度は松本の漫画やアニメを見直したくなってしまい、ますます時間が足りなくなってしまって困ってしまう。

松本は1954年に漫画家としてデビューしているので、来年が70周年になるところだった。この前、60周年記念の雑誌を買ったばかりだと思っていたのに、もう10年が経過しようとしていることに驚いてしまう。

何よりも高校生の時に観た劇場版「銀河鉄道999」の記憶は未だ色褪せていない。当時まだTVアニメも放送中で、こちらも熱心に見ていたが、それよりも早くエンディングを見られるということで驚いたものである。

ちなみにTV版の最終回は1981年3月26日だったが、当地では少し遅れて5月20日だった。当地での放送時間は毎週水曜の5時20分からで、その前には「伝説巨人イデオン」も見ていた。2月18日の日記には「永遠の夢追い星」(101話)を見たとの記述があった。

映画の公開は1979年8月4日で、これを10日後の14日に観ているが、同じ日に「エイリアン」も観てしまったために、そちらの印象の方が強く残ってしまった。それでも、じわじわと余韻は残り続け、その年のベスト10では2位に選出している。ちなみに1位は「ディア・ハンター」だった。

しかし、なぜかサントラ盤のレコードは購入せず、TV版だけで満足していた。それがCDの時代になって改めてサントラを聴き直したら、その素晴らしさに圧倒させられてしまった。特にクライマックスで流れた「惑星メーテル」という曲が体に浸透していき、今では聴くだけでも体が熱くなるようになってしまった。

そうなるとサントラだけでは満足できずに、未発表音源を求めて完全版CDなどを購入していくことになった。この過ぎ去った夏を想起させるボサノヴァのような曲調は、 丸山圭子の「どうぞこのまま」も同じで大好きだったが、後にこの編曲をしたのが青木望と知って納得したものである。


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そして2年後の1981年8月27日に同じ映画館で「さよなら銀河鉄道999」を観た。こちらは前作とは違って見直すこともなく、あまり印象にも残っていない。当時の記録にも次のように書かれている。

999のすべての謎が明らかにされるということで期待したが、結局のところ前作の焼き直しのようなストーリー展開で物足りなさを感じてしまった。それでも映像は美しく、メーテルと再会できただけでも満足だった。

少年の自立というテーマがあるからこそ、青春の幻影たるメーテルとの別れがあるというのは切ないものだ。ラストで流れる「サヨナラ」という歌がメーテルの立場から歌われていて印象的だった。


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こうして999熱も下がっていき、翌年には上京して7月31日に丸の内東映パラスにて「わが青春のアルカディア」を観たが、感想も「松本アニメもワンパターンになってきて、新鮮味もなく物足りなく思えてきた」と素っ気ないものだった。

それでも、一人暮らしが始まってから今度は松本の漫画「男おいどん」にハマることになった。実際、自分も四畳半の風呂なしアパートで4年間過ごすことになったため、大いに共感するところがあったという訳である。