毎年8月になると戦争を題材とした映画やドラマを見る。そんな中でもNHKで放送されるドラマには印象的な作品が多い。昨年は本木雅弘が主演の「八月の声を運ぶ男」が良かったが感想を書くことが出来なかった。
2018年8月6日に放送されたNHK広島開局90年ドラマ「夕凪の街 桜の国2018」は今年も広島だけで再放送されたようだが今でも忘れられないドラマである。ブログを公開するようになった頃に試行錯誤しながら書いた記事が、今でも読まれているのが嬉しい。原作はこうの史代の漫画で、ドラマを見た後で読んで感銘を受けた。個人的には「この世界の片隅に」よりも好きかもしれない。
漫画家の自伝的なドラマでは2007年に放送された「鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜」が衝撃的であったが、昨夜はついに「手塚治虫の戦争」が放送された。

原作は「紙の砦」であるが、わずか40ページ足らずの短編なので「ゴッドファーザーの息子」の内容も取り入れられている。どちらも全集が発売された1982年と1983年に読んでおり、同じ頃に広島と長崎に出かけている。


ドラマでは1973年の虫プロ倒産によって追い詰められた手塚が、より過酷だった戦時中を振り返ることで再生していく姿を描いている。「紙の砦」だけでは15分の短編ドラマにしかならないので、これはこれで見事な創作である。
非国民と呼ばれながらも漫画を描くのを止めなかった主人公の情熱が凄い。戦時中にあっても好きなことにとことん向き合って周りの仲間を楽しませる姿には感服するしかない。
そんな主人公が宝塚音楽学校の女学生と出会い、空襲の中を二人で逃げる姿に戦争の悲惨さが色濃く滲む。美が一瞬にして醜になることの絶望が痛々しい。歓喜と絶望が隣り合わせになる残酷さに打ちのめされる。
若き主人公を演じたのが原田芳雄の孫である原田琥之佑、ヒロインを演じたのが朝ドラ「ばけばけ」で女中を演じた 野内まる。どちらも実際に絵心があるだけに瑞々しい演技が新鮮だった。
ヒロインの名前は岡本京子で、その残酷な運命は漫画家の岡崎京子を連想してしまうが、個人的には京子という名前から芳根京子に演じて欲しかった。朝ドラ「べっぴんさん」のヒロインを演じた頃だったらピッタリだったに違いない。なお、芳根もNHKで「Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音」というドラマに出演しているがBSだけで地上波では放送されていないのが残念である。












