ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

【備考】勇気をもって~アメフト

新たにレギュラーになったアダムとアルバートの有能さが印象的なエピソード(シーズン5)。それだけにローラとメアリーは彼らをただ見守るだけの存在になってしまう。

アダムが登校拒否の生徒に対して、どのような指導をするのかが見所でもある。問題は生徒だけではなく父親にもあることを自らの経験から見抜いていくところは印象的である。その負の感情を吐露することで現状を正しく認識させる方法論は今でも有効である。

ドラマ「Glee」ではLGBTを巡る父と息子の関係が同じように描かれていた。どちらもその事実から目を背けていたということである。そんな父親像はシーズン1の「オルガの靴」でも描かれていたが、今回もシーズン3の「穴に落ちたキャリー」での飲んだくれの技師役に続いて登場したジョン・アイアランドによって印象的に演じられていた。

f:id:hze01112:20210125194430j:plain

そして(暗算が得意で)頭の切れるアルバートフットボールの試合に勝つために策を弄する。そんなフットボールの練習シーンではプロのアメフト選手だったガーベイ役のマーリン・オルセンがルールブック片手に指導する姿が可笑しかった。

f:id:hze01112:20210125194526j:plain

そこにアダムの策略でとても15歳に見えない登校拒否の生徒が加わり、少しずつ自信を付けていくことになる。そして試合当日のファインプレーにつながる。

アメリカに初めて英国のフットボールが紹介されたのは1867年とのことだが、ドラマで描かれた1880年にここまで普及していたかは分からない。ただ今ではアメリカでもっとも人気があるスポーツになったということが重要で、ドラマでもシーズン7の「がんばれアルバート」で再び描かれることになる。

それだけに映画でも多く描かれており、ドラマが放送中だった1970年代には「ロンゲスト・ヤード」「ジョーイ」「天国から来たチャンピオン」などを観ていて忘れられない。

ロンゲスト・ヤード (字幕版)

ロンゲスト・ヤード (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
天国から来たチャンピオン (字幕版)

天国から来たチャンピオン (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

その他にも1994年6月公開の「ルディ/涙のウイニング・ラン」と1997年5月公開の「ザ・エージェント」は個人的に大好きな映画である。

ルディ [DVD]

ルディ [DVD]

  • 発売日: 2001/04/27
  • メディア: DVD
 
ザ・エ-ジェント (字幕版)

ザ・エ-ジェント (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 でも、やっぱり一番印象的なのはメアリーであることに変わりはない。

f:id:hze01112:20210125194722j:plain

f:id:hze01112:20210125193437j:plain

f:id:hze01112:20210125193512j:plain

f:id:hze01112:20210125193547j:plain

【備考】家族はひとつ

シーズン5はいきなり前後編でスタートする。前編はウォルナット・グローブを離れたインガルス、ガーベイ、オルソンの家族がウィノカという都会に集結していく過程が面白い。そして後編のオープニングではメアリーの授業風景が描かれて印象的。

f:id:hze01112:20210114162343j:plain

ここからチャールズとアルバートの出会いを描き、メアリーの16歳の誕生日パーティーを感動的に盛り上げていく。

これまでも家族の誕生日はたびたび描かれてきた。ローラは「悪夢のオルゴール」(シーズン3)、チャールズは「愛と祈り」(シーズン3)、キャロラインは「長く危険な道」(シーズン2)で描かれていたが、今回は待望のメアリーの番ということになる。

ただ、ドラマはあくまでもフィクションなので史実とは異なる。史実ではメアリーの誕生日はチャールズと同じ1月10日なので真冬に二人一緒に祝わなければならなくなってしまう。それでも16歳の誕生日が大切なのは変わらない。

その誕生日のためにチャールズは金策に奔走する。その結果5ドルを手にするが、そこから1ドルを出してアルバートにランプを買ってやる。そしてキャロラインに4ドルを渡してプレゼントを用意してもらう。そこでキャロラインが買ったものが、メアリーだけでなく皆を感動させることになる。

f:id:hze01112:20210114161541j:plain

このエピソードは、何度見ても目頭が熱くなってしまう。DVDではよく見えなかったメアリーの涙が4Kではよりクリアーになり、その感動も大きくなった。単純に家族って良いなって思えてしまうことだろう。

f:id:hze01112:20210114160347j:plain

f:id:hze01112:20210114161925j:plain

そしてアルバートの登場によってメアリーの立場も変わっていく。その美しかった髪も少しずつ変化していく。ストーリー的にはもはや書き加えることもなくなっていくが、DVDとは比べものにならないくらい鮮明になった映像に注目していきたいと思う。

そんな訳で今年のBS4Kの放送は切り良くシーズン5の初回からスタートしたが、今から40年前もNHKではシーズン5を放送していた。1981年1月10日の日記には次のように書いてある。

待望の土曜日。授業の3時間は難なく終了して、帰りに友人とラーメンを食べた。帰宅後、6時より大草原「悲しき綱渡り」を見てから、買ってきた「ビートルズ・バラード」を聴いた。

今年の10日も大雪だったが、40年前もやはり大雪だった。メアリーが16歳になった1881年も大雪だったかもしれない。時代が変わっても自然の厳しさは変わらないと痛感している今日この頃である。

デヴィッド・ボウイと「大草原」

デヴィッド・ボウイと「大草原」について書きたいと思って、なかなか書けずにいる。どちらも1月10日が大切な日なのに、書けないままに日が経っていく。

今年になって色々なCDを聴いているが、その中に映画「キャット・ピープル」のサントラがあった。映画は1982年に公開された時に映画館で観て、ナスターシャ・キンスキーの美しさとジョルジオ・モロダーの音楽に魅せられて、すぐにサントラ盤レコードを購入した。

その主題歌はデヴィッド・ボウイが歌っており、個人的にはボウイの歌でもっとも好きである。翌年に発売された「レッツ・ダンス」にも収録されているがアレンジがアップテンポになっており、これはこれで悪くはなかったが、やはりサントラ収録のスローで妖しいムードは最高である。

レッツ・ダンス <2018リマスター>

レッツ・ダンス <2018リマスター>

 


David Bowie - Cat People (From Serious Moonlight Tour)

当時このアルバムと「戦場のメリークリスマス」のサントラ盤も購入して、まさにボウイに魅せられていたものである。ここから過去のアルバムも購入していくことになったが、残念ながら新作にはあまり興味は持てなかった。

それでも映画関連には印象的な歌が多く、出演もしている1986年公開の「ラビリンス/魔王の迷宮」の主題歌「アンダーグラウンド」には魅せられてレコードを購入した。

f:id:hze01112:20210201194733j:plain


David Bowie - Underground (Official Video)

この映画のヒロインはジェニファー・コネリーで、その吹替をしているのが「大草原」でメアリーを担当している清水理沙である。

ここでようやくボウイと「大草原」が繋がったが、そのメアリーの誕生日が1月10日であり、その日はボウイの命日でもある。ちなみにメアリーの父親であるチャールズの誕生日も同じ日で、ボウイの誕生日は1月8日である。

多くの人にとっては、「だからどうした」ということになるだろうが、個人的な推しの繋がりを見つけると嬉しくなってしまう。これも自分にとっての小さなyeahである。

大雪原の小さなyeah !

首都圏には緊急事態宣言が再び出されたが、当地ではコロナに加えて警報クラスの大雪が続いている。先月以来これで三度目の最強寒波である。

f:id:hze01112:20210110193943j:plain

嵐の直前、埋もれた標識

そのため4KどころかBSはほとんど映らず、今朝の大河「太平記」の再放送も見ることができなかった。「麒麟がくる」も朝の9時から4Kで見ているが、こういう時はやはり地上波があると助かる。

それでも、この年末年始には多くの番組を見ることができた。BSなどは途中から見られなくなってストレスが溜まることも多いが、最後まで見られた時はそれだけでラッキーと思えてしまう。これで受信料は全国一律なのだから、不公平もいいところである。

そんな中、BS 4Kでの「大草原」は6日よりシーズン5がスタート。これは無事に見ることができたが、より見たいのは後編の方だけに心配である。

昨年は元旦からDVDで見た感想を書き始め、年末で全話を見終わることができた。4Kで見直した時は【備考】として更に余計なことまで書き続けてしまった。その【備考】ではメアリー関連に熱が入ってしまい、「人質になったメアリー」と「メアリーの悩み」は注目記事にも入ったが、シーズン5以降についてはあまり書く気にはなれない。それでも、 4Kでの放送は楽しみに見続けていきたいので、気が向いたら小さなyeah!を記録したいと思う。

そんな小さなyeah!を覚えた番組の感想を、とりあえず覚えている範囲でダラダラと書いてみたい。

ドラマでは高橋一生主演の「岸辺露伴は動かない」が予想に反して面白かった。「ジョジョ」はアニメで少し見たくらいであったが、それに関係なく楽しむことができた。特にその非日常感は最高で、飯豊まりえの編集者役もなかなか魅力的だった。

そんな非日常感で忘れられないドラマが1980年前後に放送された明智小五郎シリーズである。その中でも1982年1月2日に放送された「天国と地獄の美女」はヒロインを演じた叶和貴子の魅力もあって忘れられない作品だった。

当時はその美しい裸身が目に焼き付いてしまったが、今回久々に見直してジェームス三木脚本による欲望のドラマとして実に良くできていると思った。伊東四郎小池朝雄、草薙幸二郎などの存在感たるや凄いの一言。クライマックスのパノラマ島の件は絢爛豪華で、大好きな「インディ・ジョーンズ/魔宮の宮殿」を思い出した。

絢爛豪華と言えば宝塚の舞台がそうで、かつて「ベルサイユのばら」の舞台中継を見たことがあったが、今回初めて手塚治虫の「火の鳥」をモチーフにした1994年の舞台を見ることができた。まるで派手な紅白の舞台を見ているかのようでもあり、そこに手塚キャラが登場することの楽しさたるや最高だった。更に映画「火の鳥2772」のゴドーとオルガまでもが登場するのだから堪らない。音楽の編曲は羽田健太郎

f:id:hze01112:20210110195156j:plain

その紅白では初めて無観客での開催になった訳だが、変なコントもどきが減っただけでも意外に楽しむことができた。そこで印象的だったのが所沢にオープンした角川武蔵野ミュージアムで演奏したYOASOBIのパフォーマンス。曲そのものにはあまり魅力を感じなかったが、その歌詞が興味深かった。そこで配信されていた何曲かのPVを見たが、まるで「みんなの歌」のような感じがした。映像と音楽のコラボでより魅力が増していると思った。CDも発売されたようなので、もう少しじっくりと聴いてみたい。

 このジャケットを見ると個人的には1982年に発売されたビリー・ジョエルの「ナイロン・カーテン」を思い出す。ここには大学時代の色々な思いが刻まれているが、今の若者にはYOASOBIの歌がまさにそうなのであろう。

ナイロン・カーテン

ナイロン・カーテン

 

自分にとっては薬師丸ひろ子の歌もそうで、年末に再放送された2018年のライブの影響で以前の記事が注目記事に入った。その番組では中田喜直作曲の「寒椿、咲いた」が歌われており、その歌に感銘を受けた人が検索をしたようである。自分の好きな歌がこうして注目されるというのも嬉しいものである。


薬師丸ひろ子「寒椿、咲いた」 from album "花図鑑" 1986年6月 [HD 1080p]

その薬師丸が出演した朝ドラ「エール」からは多くの歌番組が作られたが、「うたコン」で歌われた「トゥナイト」が印象的だった。その映画「ウエスト・サイド物語」も久々に4Kで見直すことができた。初めて見たのが1979年の正月だったので、今またこうして同じ時期に更に美しい映像と音で見ることができた喜びは大きかった。「トゥナイト」のメロディを聴くと条件反射的に涙腺が緩んでしまう。

この「トゥナイト」について毎週見ている「カセットテープ・ミュージック」でも言及されており、そのメロディの繰り返しが感情を揺さぶってくるのは間違いない。同じような構造を持つ歌としてTOTOの「ロザーナ」が挙げられており、この歌も大好きなだけに納得だった。


Toto - Rosanna (Official Music Video)

年末の23日には作詞家のなかにし礼が82歳で亡くなった。彼の作詞した多くの歌の中で特に印象的だったのが「石狩挽歌」。


石狩挽歌  北原ミレイ  2007 Mirei Kitahara   Ishikari Banka

この歌を聴いていると北海道の冬景色が目に浮かぶ。北海道の冬景色と言ったら高倉健になる訳で、彼が主演した山田太一脚本の「チロルの挽歌」も再放送されたので(DVDを持っているにもかかわらず)久々に見た。妻を寝取られた男を健さんが演じるだけでも最高だが、逃げた女房を演じた大原麗子のなんと魅力的なことか。

その「石狩挽歌」には兄への複雑な思いも込められているようだが、それは1999年に放送されたドラマ「兄弟」でも生々しく描かれていた。そこで兄を演じたのがビートたけしで、豊川悦司がなかにしを演じて印象的だった。

その豊川の出世作となった1995年放送のドラマ「愛していると言ってくれ」も久々に見ることができた。当時、夢中になって見たドラマも改めて見返すと「半分、青い」と同じくらいヒロインがうざかった。「大草原」の「ローラ先生」を見た時に思い出したが、とにかく同じことを延々と繰り返している。それでも「大草原」にも登場したオルゴールやミニピアノといった小物の使い方は巧く、豊川の手話は男ながら美しいと思った。

その豊川がチャーミングな悪魔を演じた久々のジブリアニメ「アーヤと魔女」も見ることができた。ヒロインが可愛くないのがいかにも今っぽいと思ったが、黒猫の描き方も含めて「魔女の宅急便」の方が好みである。

ヒロインが可愛いと言えば「逃げるは恥だが役に立つ」の新垣結衣を思い出すが、その新作スペシャルドラマを見た。結婚して夫婦別姓、育児休暇などの問題に対処していくが、最大の難関となったコロナが出産後に立ち塞がる。リアルな現実を前にしてはワクワクは消し飛んでしまうのは仕方がないところ。

「相棒19」の正月スペシャルは久々に見応えはあったが、少年犯罪を描いた衝撃作は映画でも多く作られていて地上波のドラマでは限界がある。それでも「犯人に告ぐ」などを監督した瀧本智行の脚本は「三文芝居」と共に面白かった。

それでも正月にはこうした重いストーリーよりも単純明快なアクションを見たい。そこで「大草原」と同じ頃に放送されていた「チャーリーズ・エンジェル」を見た。放送当時は見た記憶はないが雑誌「ロードショー」などのグラビアなどでお馴染みだった。これを改めて見るとやはり面白い。ゲストスターにも見た顔があり「大草原」の「兵士の帰還」で強烈な印象を残したリチャード・マリガンが容疑者として出てきたりするのが楽しかった。当然、2000年公開の映画も大好きである。

f:id:hze01112:20210110200108j:plain

その他の映画でも1978年公開の「原子力潜水艦浮上せず」に「スーパーマン」出演前のクリストファー・リーブを見つけたりして、違った面白さがあった。

原子力潜水艦浮上せず [DVD]

原子力潜水艦浮上せず [DVD]

  • 発売日: 2016/12/07
  • メディア: DVD
 

そんな訳でダラダラと書いてきたが、やはり短くてもカテゴリー別に書いた方が分かりやすいような気がするが、頭の中が整理されていないから仕方がない。もう少しスッキリとした短い記事をTwitter のように書いてみるのも良いかもしれない。とにかく今年も多くの小さなyeah に出会いたい。そのためにも早く平穏な日常が戻って欲しいものである。

大草原の小さな家【特別版】~過去と未来

BS4Kでのシーズン5のスタートは来年になるようなので、まだ見ていなかった特別版を見ることにした。DVDには「大草原の小さな家-特別版-」として「きのうの日々」「この愛すべき子ら」「最後の別れ」の3話が収録されており、それぞれ95分の長編である。

アメリカでは1983年12月と、1984年の2月と12月に放送されたが、日本では1991年12月29日から3日連続で集中放送されている。9月までシーズン9が放送されていたうえに、7月1日にはマイケル・ランドンが54歳で亡くなったこともあり、まさに待望の放送だったに違いない。

それなのに当時はまったく関心を失っており、放送されたことも知らなかった。日本ではシーズン8が放送されてから10年近くも経っていた。それから更に30年近く経って、ようやく最後まで見ることができて感無量である。

しかし、正直なところ、ここまで辿り着くのは大変だった。メアリーとネリーが去ったシーズン8以降はなかなか先に進めなかった。特にシーズン9の壁は大きかった。その壁を越えることができた人には、まさにご褒美みたいな作品である。これは特別版ではあるが、あくまでも「新・大草原の小さな家」の続きの物語になっている。それでもシーズン10と言えるほどの連続性はなく、あくまでも独立したスペシャルである。そのため、どの回を見てもそれなりに楽しめるし、その違いが面白い。Amazon Prime Videoでも次のタイトルで配信中である。

帰還

帰還

  • メディア: Prime Video
 
未来ある者たちへ

未来ある者たちへ

  • メディア: Prime Video
 
ウォルナット・グローブよ 永遠に
 

 

◉「きのうの日々」 Look Back To Yesterday(昨日を振り返る)

アルバートが医者になるために大学へ進学することになる。その手続きにチャールズと共に出かけるが、高額な学費は払えそうもないので奨学金の申請をすることになる。その結果を待つ間に懐かしのウォルナット・グローブを訪れる。

シーズン9ではモルヒネ中毒だったアルバートだが、今回も頻繁に鼻血を出しており、何やら不穏な空気が漂う。ネットで「大草原の小さな家」を検索するとアルバート〇と表示されてしまうため、おおよその展開は予想できてしまう。それでも当初、アルバートの〇はシーズン9のモルヒネ中毒が原因だと思っていたので、それを克服したうえでのこのエピソードは正直やり過ぎだと思ってしまった。

おそらく打ち切りが決まって、そのストーリーを考えるうえで一番動かしやすいキャラクターがアルバートだったのだろう。感動的なエピソードを作るなら、メインキャラの〇を描くのが手っ取り早い。

すでに時代は80年代に入っていたが、70年代は少年の白血病を描いたお涙頂戴映画がヒットしていた。個人的には映画「ジョーイ」「フィーリング・ラブ」などを思い出すが、「大草原」でもシーズン5の最終回がそうだった。

海へのあこがれ

海へのあこがれ

  • メディア: Prime Video
 

ラブストーリーだったら、それこそ「ある愛の詩」と「ラスト・コンサート」が忘れられない。先日見た「愛唄」もそうで、今も昔もこうしたストーリーは分かってはいても泣かされてしまう。

愛唄 ―約束のナクヒト―

愛唄 ―約束のナクヒト―

  • 発売日: 2019/07/02
  • メディア: Prime Video
 

それでも今回、メアリーの悲劇を描いた「失われた光」の次に見たため、どうしてもアルバートが自分の運命を受け入れる過程が安易に思えてしまう。普通はメアリーのようにもっと葛藤があるはずで、まるですぐに悟りを開いた聖人のようだった。

f:id:hze01112:20201226193414j:plain

f:id:hze01112:20201226193513j:plain
相変わらずのKYであるナンシーは「どんな気持ち」とアルバートに単刀直入に斬り込む。それに対するアルバートの答えはあまりに美しい。そんなナンシーをも感動させてしまうのだから凄い。

そしてクライマックスはローラと共に苦難の山登り。映画「サウンド・オブ・ミュージック」の名曲「すべての山を登れ」が脳内再生されてしまった。


サウンド オブ ミュージックより 【すべての山に登れ】

その後については分からないが、「ローラの祈り」で登場した岩山に登ってジョナサンに出会ったとか、シーズン8の最終回でチャールズが作った祭壇に行ったとか想像してみるのも面白い。きっと奇跡が起こったに違いない。

 

◉「この愛すべき子ら」Bless All The Dear Children(すべての親愛なる子供たちを祝福する)

「大草原」ではお馴染みの物語をクリスマスに見た。冒頭で1896年のクリスマスは暖冬だったと語られる。雪を降らせないための苦肉の策であろうが、シーズン2の「自由よ永遠に」で描かれた1876年から20年も経っているということに驚いてしまった。

マンケートにクリスマスの買い物に来たローラ一家とエドワーズ。目を離した隙にローズが行方不明になってしまう。その捜索に孤児の少年サム(サミュエル=彼の名は神)が加わることでクリスマスの奇跡が起きて、最後には全て丸くおさまることになる。クリスマスの星と言えば「プラム・クリークのクリスマス」でのキャリーを思い出す。

ウォルナット・グローブでは(入院しているらしい)オルソン夫人の代わりにナンシーが周りを引っ掻きまわす。それが結果的にクリスマスを否定していたモンタギューを目覚めさせて、もう一つのクリスマスの奇跡を起こすことになる。この変人モンタギューのエピソードは(「クリスマスの思い出」でも回想された)「旅立ち」でのエドワーズの行動を思い出させて感動的だ。

f:id:hze01112:20201226193144j:plain

アメリカではこの回の放送が最後だったようだが、これまでの「大草原」のモチーフが散りばめられていたという意味において良かったのかもしれない。

 

 ◉「最後の別れ」The Last Farewell

ウォルナット・グローブの土地を巡る住民と不動産屋との対決を描き、実質的な最終回。住民が銃を持って武装する姿は西部劇そのもの。久々にキャロラインが登場して、ライフルを構える姿を見られただけでも満足だった。

f:id:hze01112:20201226185543j:plain

アメリカで放送された1984年には大好きな映画「ストリート・オブ・ファイヤー」が公開されており、同じようなシーンに胸を熱くしたのを思い出した。

ラストは負けて勝つというテーマだけでなく、破壊のカタルシスまで描いており、まさにアメリカ映画の王道といった感じでもあった。爆破シーンはマイケル・ランドンの私怨と深読みする向きもあるようだが、撮影が終わったらセットを取り壊すのは常識で、それをストーリーに組み込んだランドンは脚本・演出だけでなくプロデューサーとしても有能だったということだろう。

1840年に先住民のスー族の土地に開かれた町から住民が出て行くシーンは「自由への旅」や「心を結ぶ旅」を思い出した。まさに差別と信仰を描いてきたシリーズの最後に相応しいと思ったものの、そこにはメアリー、キャリーだけでなく、ネリーもオルソン夫人もいないという淋しいものだった。

そのオルソン夫人を演じたキャサリン・マグレガ―が出演しなかったのはヒンズー教徒としてインド巡礼中だったからとのこと。その後、2018年11月13日に93歳で亡くなっている。

ネリーを演じたアリソン・アーングリンは制作が決まったというリブート版へオルソン夫人としての出演を希望しているとのことだが、見てみたいものの年齢的に厳しいかもしれない。

個人的にはメリッサ・ギルバートが「Little House books」を発表し始めるローラを演じるのを見てみたい。そこから過去に遡って物語の世界を忠実に描いていったら、そこそこ面白い作品になるかもしれない。そんな未来の作品も楽しみである。