ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

ドラマ「四季~ユートピアノ」

真夏のような暑さと訃報が続いている。

今日は佐々木昭一郎。一般的には誰ってなると思うが、個人的には1980年に放送されたドラマ「四季~ユートピアノ」によって忘れられない。

高校生の時に見たことによって、まだ柔軟だった感性が刺激されたことは間違いない。これを今、初めて見たとしたら退屈でとても最後まで見られなかったことだろう。あの頃に見たことによって吸収できたことは多い。

まず、難解と言われているマーラー交響曲が好きになったこと。ここで流れる4番は親しみやすいとはいえ、普通だったら口ずさめるような曲ではない。それなのに、今だにふとした時にこのメロディが出てきてしまう。

それからピアノがドラマのテーマの一つになっていたので、ピアノが登場するドラマや映画が好きになったこと。当時はまだ大林宣彦の映画は観ていなかったので、その後「時をかける少女」を観てから一気にハマったのは言うまでもない。

そして独特なドキュメンタリータッチの映像は岩井俊二にも影響を与えているようで、彼の映画にも魅せられていくことになった。

とにかくストーリーはあってなきが如しで、音楽を聴くように映像に身を委ねるのが快感であった。もし、これを忠実に描いたとしたらかなり悲惨なストーリーになってしまい、とても何度も見たいとは思わなかったことだろう。

音の日記としてヒロインのモノローグが断片的に語られていくが、自分にとっても音楽と映像が断片的に記憶に刻まれてしまい、少なからず影響を与えていくことになったのは間違いない。

先日WOWOWで見た映画「バカ塗りの娘」も堀田真由目当てで見始めたものの、すっかり見入ってしまったのは無意識に刻まれていた要素があったからに違いない。

映画とドラマで共通していたのが舞台が津軽ということと、兄と一緒に無人の学校に忍び込んでピアノを弾くということ。それがその後の人生に影響を与えていくということ。バカ塗りの作業中の音と調律の音が印象的だったのは言うまでもない。


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それからドラマでは雪景色と海辺のシーンが印象的であるが、こうした叙情的な映像に魅せられてしまうのも、このドラマの影響かもしれない。

映画「男と女」にも忘れられない海岸のシーンがあるし、最近でもドラマ「VRおじさんの初恋」の主題歌「ハートビート」のMVにも魅せられたばかりである。


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なお、このドラマはNHKでもたびたび再放送されてるが、10年前の2014年にBSで佐々木昭一郎の特集が放送された時に録画している。1980年に初放送された時も感動のあまり新聞のテレビ欄を切り抜いて保存したほどである。