シーズン2でエドワーズことヴィクター・フレンチが演出したのは4回。その内の3回はローラと年配の男が対峙するストーリーになっている。自分は勝手に頑固者3部作と思っているが、それが「釣り友だち」「おばけ屋敷」そして今回の「暗い教室」である。
今回の相手は上級の男子生徒を指導できないビードル先生に代わって赴任したアップルウッド先生。ちょっとした誤解で、最初からローラを目の敵にしてしまう。ローラの言い分には耳を貸さず、徹底的に締め付ける。さすがのローラも付け入る暇がない。
これまでは頑な心をローラが和らげていくストーリーだったが、今回ばかりはローラの神通力も通じなかったということか。アップルウッドの立場だと、ちょっと救いがなさすぎて、モヤモヤしてしまう。
生徒に優しいビードル先生が理想的なのは分かる。それでは厳しく指導するアップルウッドは悪い先生なのだろうか。ローラへの対応は間違ってはいるが、指導方針自体は間違ってはいない。時には厳しく躾けることも必要である。間違ったことに対して罰を与えることの是非については一概に言うことはできない。
親の方にも言い分があるから、余計にややこしくなってしまう。チャールズのような正論ばかりではなく、今ではオルソン夫人のようなモンスターペアレントも多いと聞く。これでは先生も精神を病んでしまう。
今では分かり易い学級崩壊だけでなく、SNSによる陰湿な見えないいじめもあるから把握するのも大変だと思う。来月からは本格的に学校も動き出すようだが、学習の遅れによる問題も大きい。とりあえず9月入学は見送られたようだが、これから様々な問題に対処していかなければならない訳で、学校も家庭も大変である。
現実はドラマのようなハッピーエンドとはいかないだけに、難しい。逆に現実が深刻な時は、せめてドラマではハッピーエンドが見たいとも思う。これからの学校が「暗い教室」にならないように祈るばかりだ。ビードル先生の複雑な表情が印象的だった。
このドラマでの教訓の一つは、履歴書だけで採用してはいけないということ。どんな企業でも書類選考だけで採用することはないだろう。必ず面接をして人間性を見る。それなのにドラマでは一流校で働いていたことだけに注目し、勤務期間を見落とし、前の学校にも確認しなかった。それだけ人を採用するというのは難しいということだ。だからアップルウッドだけが悪かった訳ではない。
個人的にはアップルウッドのような先生は珍しくなかったので、その良さも少しは分かる。体罰もあったが、絶対的な悪とも言い切れないところもある。そのような意味で映画「告白」やドラマ「3年A組」は面白かった。
罰ということでは京アニの事件のことを今でも考えてしまう。先日ようやく逮捕された容疑者の姿は見ていられなかった。一方的な思い込みによって、多くの命を奪った男には、正論は通じない。それでも裁判にかけるために万全の医療体制で救命されたが、その先にあるのは絶望しかないと思う。この男にはどのような教育が必要だったのだろうか。そして、どんな思いで京アニの作品を見ていたのだろうか。
そんな京アニの作品は「明るい教室」が多かった。現実でもアニメーターの養成という「明るい教室」があった。それを「暗い教室」にしてしまった男の罪は重い。