ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

「原始少年リュウ」と「キャプテンハーロック」

水木一郎が今月の6日に74歳で亡くなった。

アニメのデビュー作である「原始少年リュウ」を久々に聴いたのに、ほとんど歌えてしまうことに改めて驚いてしまった。

原作を読んだのが少年チャンピオンだったか、小学館学年誌だったかは忘れたが、1971年10月に放送が始まったアニメ版を熱心に見ていたことは鮮明に覚えている。ちなみにこの枠で翌年4月から始まったのが「海のトリトン」で、こちらはレコードを購入するくらい好きだった。

その後、1995年に「リュウの道」と「番長惑星」と共に復刻されたコミックを読んで、改めて魅せられたこともよく覚えている。

水木の歌で覚えているのは次の通り。

原始少年リュウが行く(「原始少年リュウ」OP)
嵐よ叫べ(「変身忍者 嵐 」OP)
ぼくらのバロム1(「超人バロム・1」OP)
マジンガーZ(「マジンガーZ」OP)
バビル2世(「バビル2世」OP)
侍ジャイアンツ(「侍ジャイアンツ」OP)※松本茂之名義
コン・バトラーVのテーマ(「超電磁ロボ コン・バトラーV」OP)
キャプテンハーロック(「宇宙海賊キャプテンハーロック」OP)
ルパン三世 愛のテーマ(「ルパン三世」ED)
ムーへ飛べ(「ムーの白鯨」OP)

上記は来年1月発売予定のベストアルバム「絶唱 -Z Show-」に収録されるとのこと。

これらの歌の中でもっとも好きで、音源として持っているのが「キャプテンハーロック」である。

アニメは1978年3月から放送されたが、ストーリー、キャラクター、音楽ともに最高で夢中になった。脚本はウルトラセブンも書いた上原正三だし、演出のりんたろう作画監督小松原一男は翌年に映画「銀河鉄道999」を作ることになる。

横山菁児の音楽は、とにかくスケールが大きくて、交響組曲は最高だった。主題歌の作曲は平尾昌晃だったが、水木の歌唱も圧倒的だった。それから、この音楽は合唱組曲にもなっており、演奏会でも聴くことができた。当時、「宇宙戦艦ヤマト」は歌うことができたが、こちらも歌ってみたかったものである。


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【4K】真田太平記(最終回)

冬型の気圧配置となり、強風と共に雪が舞い始めた。

今日が最終回だった「真田太平記」は少々画面が乱れたが、無事に見ることができた。

それにしても最後までしっかりと面白くて、それぞれの人生模様が見事に描かれたことに驚嘆する。

一応、主人公は最後まで生き残る真田信之渡瀬恒彦)ではあるが、この最終回で特に印象的だったのが樋口角兵衛(榎木孝明)とその母親である久野(香野百合子)の顛末だった。

とにかく角兵衛の拗らせぶりは見ていて最高に面白くて、その目的の定まらない生き方は個人的には最も共感するところがあった。自分に自信がないから、自分に都合の良い考えにはすぐに影響されてしまう。それが周りにどのような迷惑をかけることになるのかに考えが及ばない。

そんな角兵衛を甘やかして育てた久野もまた同様で、その女としての生き様はある意味あっぱれとも言える。「大草原」で例えるとしたら、オルソン夫人みたいな存在で、角兵衛はウィリーのように育てられてしまったという訳である。それでもウィリーは母の呪縛から逃れることができたが、角兵衛は息子を思う母の思惑によって人生を狂わされてしまったということである。

それにしても病に臥せった母の口から、自らの出生の秘密を打ち明けられた角兵衛の気持ちを考えると、あまりにも切ない。

若い頃の私は多情であった

遊び心の激しい浮かれ女であった

雪の降る中、悶絶する角兵衛は、あまりにも哀れであった。その雪景色は、大雪注意報が出た現実のようでもあった。

 

【備考】最後の患者

シーズン9の12話「最後の患者」をBS4Kで見た。

最終シーズンであるシーズン9も後半に入り、いよいよ残りも少なくなってきた。邦題の最後という言葉から終わりが近づいているのを感じてしまう。原題はMarvin's Gardenだから「マービン先生の庭」でも良かった気もするが、マービンって誰ってことになってしまう。

DVDで見た時の感想でも書いたが、今さらベイカー先生以外の医者が居たというストーリーを受け入れるのは難しい。これまで何度もベイカー先生の孤軍奮闘する姿を見てきただけに尚更である。

それでも、そうしたシリーズの流れを忘れて、この回だけを見れば、それなりに感動的なストーリーである。目が見えなくなってきて医師免許を更新できなくなった老医師が、障碍が残って絶望している少女を立ち直らせる姿は印象的だった。その老医師を演じたのがラルフ・ベラミー。1904年生まれだから、この時で78歳くらいだろうか。

アメリカで初放送された1983年には映画「トワイライト・ゾーン」とマイケル・ジャクソンのMV「スリラー」も監督したジョン・ランディスの映画「大逆転」にも出演している。

そんなラルフ・ベラミーが演じただけに老医師の言葉には説得力があった。久々に登校した学校でナンシーに揶揄されて落ち込んでいたジェニーに次のように語りかける。

戦い続ける限り、この先も君は変わっていける

さっき怒っただろう、その勢いで立ち向かってみせろ

ナンシーやみんなを見返してやるんだ

この言葉によってジェニーは救われて、新たな一歩を踏み出すことになる。ローラのような過保護ではダメということでもある。ローラはアルマンゾのリハビリから何を学んだのだろうか。

この足を引き摺るジェニーの姿は「オルガの靴」を思い出させるし、吃音は「悪夢のオルゴール」のアナに重なり、傷ついた鳩を助けるのは「ローラの祈り」みたいだった。さらに、大きな病院に連れていくシーンは「愛と祈り」のメアリーを想起せざるを得なかった。

マイケル・ランドンの脚本は、そうした過去の名エピソードをうまく盛り込んでいるものの、やはり二番煎じの印象は拭えなかった。それでも、そうした過去の名エピソードと重ねながら楽しむことができるのも、長いシリーズを見ることの醍醐味でもある。

なお、邦題に付けられた「最後」という言葉は、この後の「最後の夏」でも繰り返されて、同じように感動的なストーリーになっている。さらに、実質的な最終回である特別編の邦題はDVDでは「最後の別れ」だった。

こうした最後(最期)に収斂していくドラマで思い出すのが倉本聰脚本の「風のガーデン」だった。このドラマでも緒形拳が演じた老医師が登場し、北海道の美しい庭が舞台になっていた。

映画「雨に唄えば」

年末になると、つい過ぎ去った日々のことを考えてしまう。そのうえ、寒くなると炬燵の中で、つい昔の日記を読み続けてしまうから始末に負えない。そんな訳で、昨日の続きを書くことにする。

1987年12月1日に「巴里のアメリカ人」を観て、23日には「雨に唄えば」を観に行っている。

7時に退社後、一人で銀座文化にて映画「雨に唄えば」を観た。とにかく最高の面白さだった。仕事が終わって映画を観ると本当に気分が良くなってしまう。酒を飲みに行くよりはるかに有意義だし、文化的でもある。特にストレスがたまっている現在、こうした能天気な映画は何よりも発散になる。

それでも一人で観ることに寂しさを感じないこともない。基本、映画は一人で観るものだと思っているが、夜の銀座でこういう映画を観ていると余計に都会の孤独を感じてしまうのも事実である。それでも場内は意外とカップルは少なく、男女ともに一人で観ている方は多い。

果たして彼女を誘ったら、どうなっていたことだろう。自分を見つめる彼女の瞳の何と魅力的なことか。わずか数秒でも目が合うと舞い上がってしまう。そんな彼女と一緒に映画を観られたら、それこそ土砂降りの雨の中でもスキップを踏んで唄いたくなることだろう。


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その後、彼女とは映画を観に出かけることになったが、ミュージカルでは2年後の1989年にSophisticated Ladiesの舞台を観た。まさに、バブルの真っ只中だった。


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ガーシュウィンと映画「巴里のアメリカ人」

「クラシックTV」でガーシュウィンの特集を見た。

クラシック、ポップス、ミュージカル、オペラ。ジャンルを軽やかに越え「アメリカの名曲、スタンダードナンバー」を残したガーシュウィンレディー・ガガレイ・チャールズホイットニー・ヒューストンジャニス・ジョプリンもみんな「LOVEガーシュウィン」なんです。ロサンゼルスオリンピック開会式では、84台のピアノでガーシュウィンの大合奏。清塚信也も名曲を弾きまくります!

ここで興味深かったのが、「ラプソディー・イン・ブルー」の演奏でバーンスタインがピアノを弾きながら指揮をする姿だった。今年はBS4Kでマーラーを指揮する姿をよく見ていただけに、この演奏も4Kで見てみたいと思ってしまった。


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それから、ロス五輪でのピアノの大合奏シーンは圧巻だった。当時、開会式は見たはずなのに、すっかり忘れていた。とにかく今見ても、最高のパフォーマンスである。


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このロス五輪では、個人的に忘れられない曲がある。この前の「マツコの知らない世界」でマツコがジョン・ウィリアムズのオリンピック・ファンファーレがベストだと熱く語っていたが、自分も同意するところがあり、当時発売された公式アルバムを購入して聴き込んだものである。


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それから、ガーシュウィンと言えば映画「巴里のアメリカ人」が忘れられない。今から35年前の12月1日に観ている。当時の日記にも次のように書かれている。

映画の日だったので、黄金のMGMミュージカルの傑作「巴里のアメリカ人」を、銀座文化2にて鑑賞。51年度のアカデミー賞を独占した作品だけに、圧倒的な迫力があった。特にクライマックスの20分にわたるセリフなしのダンスシーンは、とにかく凄かった。ガーシュウィンの曲も素晴らしかったが、その曲から創作した舞踏と美術は圧巻だった。ただ、惜しむらくはヒロインが少々魅力に欠けたこと。しかし、これも好みの問題であって、踊りは完璧である。ストーリーとしては、ちょっと出来すぎている感じもしたが、これもまた一興である。


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この映画を観た1987年に2館あった銀座文化劇場の1館はシネスイッチ銀座という名前に変わったが、もう1館は銀座文化のままだった。この頃はここでよく昔の映画を観たものである。片桐はいりを見た記憶もある。

この年はミュージカルでは「錨を上げて」「バンド・ワゴン」「雨に唄えば」も観ており、復刻された古いパンフレットとサントラも購入している。

ちなみに「ラプソディー・イン・ブルー」はあるコンクールで発表されて、その審査員の一人がラフマニノフだったとのこと。ラフマニノフと言えば、ガーシュウィンと同じように映画にも多く取り上げられているが、その一つでもある「旅愁」もこの年に銀座文化で観ている。

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