ささやかな日常の記録

現在と過去のエンタメなど

三宅唱という映画監督

三宅唱という映画監督については知らなかったが、日本映画専門チャンネルでプッシュしているので、その初期作を2本続けて見た。

長編デビュー作である「ろくでなし」は北海道を舞台に男子高校生の閉塞的な日常が描かれる。モノクロでセリフも聞き取りにくく、いったい何が起きているのか分からなかったが、その行き場のなさみたいな感じは伝わってきた。

村上淳はこれを見て気に入り、次作の「Playback」では主演。こちらもモノクロではあるが、知った役者が出てくるだけでも見やすかった。

それでも何が起こっているのかは分からない。治療を受けてはいるが、どんな病気なのかは分からない。結婚式のため故郷の水戸に向かうが、そこで高校時代の回想が挿入されるが、これが制服を着ているだけで今のままだったりする。

それが微妙に違った形で繰り返される。単なる白昼夢なのか脳の障害によるものなのかは分からない。そのモヤモヤ感がざらついた白黒の映像によって増幅される。

「過去を振り返りすぎると罰が当たる」みたいなことも語られはするが、それが重要なのかも分からない。ただ、そこに映されていることを見続けているだけではあるのに、決して退屈はしない。

スケートボードに乗る村上の姿は魅力的だ。映画の中での村上は幸せそうではないが、それなりに知られた役者になっているということは不幸ではない。

それにしても出演している村上にしても、ヒロイン的存在の河井青葉にしても顔は知っていても作品が思い浮かばないという微妙な立ち位置で、それがこの映画にもうまく溶け込んでいてリアルな感じにはなっている。

いずれにしても現在の日本映画としては高い評価を受けている作品のようだが、自分的にはそうなのかと思うだけだ。この映画を評価する言葉がないのがもどかしい。

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